大手町野村ビル

大手町野村ビルの概要

大手町野村ビルは、東京都千代田区大手町に位置する高層ビルです。その前身は、1932年に竣工した日清生命保険の本社屋「日清生命館」でした。この建物は、佐藤功一が設計を手がけ、印象的な時計塔が特徴でした。日清生命館は、その後、野村財閥傘下の東京生命保険に吸収され、丸ノ内野村ビルディングと改称されました。

戦後の変遷と再開発

戦後の財閥解体により、丸ノ内野村ビルは、大和銀行（旧野村銀行）に承継され、同行の東京営業部・東京本部として長らく使用されました。バブル期に入ると、大和銀行と東京生命保険は共同で超高層ビルへの建て替え計画を策定。1994年2月に、27階建ての「東京生命大手町野村ビル」が竣工しました。この際、旧建物の外観の一部（時計塔、尖塔、列柱）を保存するよう、東京都からの要請がありました。設計を担当した大成建設は、低層部に旧建物のファサードをはめ込み、意匠を継承する手法を採用しました。また、1997年には、全面ガラスのアトリウムと公開空地が整備されました。

ビルの特徴と設備

大手町野村ビルは、地下1階で地下鉄に直結しており、屋上には緊急発着用のヘリポートが設置されています。さらに、地域冷暖房設備も備えています。開発には野村不動産は関与していませんが、旧野村財閥のつながりから、野村證券や野村ホールディングスがオフィスを構えています。

所有権の変遷

2000年、東京生命が有価証券含み損の処理のため、新橋の本社ビルと共に当ビルを売却したため、名称は「大手町野村ビル」に変更されました。2003年には、大和銀行があさひ銀行と合併し、りそな銀行が発足。旧大和銀東京営業部は、りそな銀大手町営業部となりました。しかし、りそなショック後に同営業部は移転。その後、ビルの信託受益権は、2004年に三井不動産が出資する特別目的会社に売却されました。

2022年3月には、大成建設、芙蓉総合リース、日本政策投資銀行の3社が、大手町二丁目都市開発特定目的会社を通して、当ビルの区分所有権を取得。2023年4月には、さらに持分割合を追加し、合計約83%の所有権を保有するに至りました。

テナントの変遷

竣工当初、高層階には東京生命のグループ会社が運営するフィットネスクラブが入居していました。しかし、同生命の不採算事業からの撤退により、コナミスポーツ&ライフが買収し、「グランサイズ コナミスポーツクラブ大手町」としてリニューアルされました。

りそな銀行の撤退後、空きフロアには2004年にパソナが本社機能を移転。地下2階には、転職支援会社の「関東雇用創出機構」とパソナが運営する地下農場「アーバン・ファーム」が開設されました。アーバン・ファームでは、就農研修や野菜の栽培が行われ、生産された野菜はビル内の食堂に供給されていました。しかし、パソナは2009年に呉服橋の旧大和証券グループ本社ビルへ転出し、アーバン・ファームも2017年に事業を終了しました。

2009年には、三井生命保険が当ビルの区分所有権の信託受益権を取得し、翌年1月に本社を移転しました。その後、三井生命は本社管理部門をダイバーシティ東京オフィスタワーに集約し、当ビルには営業部門のみが残りました。

現在の地下テナントには、喫茶店のプロント、セブンイレブン、大手町野村ビルデンタルクリニックが入居しています。

まとめ

大手町野村ビルは、その歴史の中で様々な変遷を経て、現在の姿に至っています。旧建物の意匠を継承しつつ、現代的な高層ビルとしての機能も兼ね備えており、大手町エリアにおける重要なランドマークの一つとなっています。

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