大日寺 (香南市)

大日寺の概要

大日寺（だいにちじ）は、高知県香南市にある真言宗智山派の寺院で、法界山（ほうかいさん）および高照院（こうしょういん）としても知られています。本尊は金剛界大日如来であり、四国八十八箇所の第二十八番札所として多くの巡礼者に親しまれています。

歴史

この寺の創立は天平年間（729年 - 749年）に遡るとされ、聖武天皇の勅願により、行基によって大日如来像が刻まれ、堂が設立されたのが始まりとされています。弘仁6年（815年）には、空海が大日如来像を背に彫った薬師如来像を制作し、荒廃していた本寺の復興に寄与しました。慶長年間（1592年 - 1615年）に入ると、土佐藩の祈願所として栄えていきましたが、明治の神仏分離令によって明治5年には廃寺となり、それ以後大日堂と名を改めて本尊を安置していました。明治17年（1884年）には再び再興されました。

奥の院に鎮座する爪彫薬師は、特に首から上の病に霊験があるとされており、多くの参拝者が平癒を願い訪れます。この地を訪れた信者は、願いが叶った際に穴の開いた石に氏名や年齢、快癒した部位を記入し奉納する風習があります。

境内の構成

境内には、1997年に再建された本堂があります。この本堂は釘を使わず木組みで造られており、本尊の木造大日如来坐像は国の重要文化財に指定されています。土日のみ外陣に入って参拝し、前立本尊を拝むことができます。

本堂の背後には本尊収蔵庫があり、そこには聖観音立像や小さな薬師如来坐像が安置されています。大師堂は1984年に再建され、土佐藩主の寄贈による大師像を拝むことも可能です。また、1986年に建立された六角堂（地蔵堂）は、地蔵菩薩を祀り、護摩堂としても機能しています。鐘楼堂が2024年に新築再建される予定で、訪れる者を迎えます。なお、持仏堂である不動堂は一般には公開されていません。

境内へは県道22号からアクセスすることができ、普通車での進入が可能ですが、車道は狭いため注意が必要です。山門に至る石段を上がると、左手には鐘楼、右手には手水場があります。さらに進むと地蔵堂に到達し、57段の階段を上ると本堂の壇に辿り着きます。ここからは本堂の他、大師堂も見ることができます。

文化財

大日寺には重要文化財に指定されている木造大日如来坐像が存在します。この像は1911年に指定され、像高は146cmです。その他にも、木造聖観音立像も1911年に重要文化財として指定されています。これらの像は普段は非公開ですが、四国霊場開創1200年を記念した特別な期間には展示されることもあります。

アクセス

大日寺へのアクセスは、鉄道の場合、土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線ののいち駅から約2kmの距離です。また、高知東部交通のバス「野市龍河洞通」で下車後、徒歩で約2kmのところに位置しています。車では県道22号を利用し、大日寺前の駐車場に停めることができ、駐車場は無料で30台分のスペースがあります。

奥の院

大日寺の奥の院には爪彫薬師堂があります。ここは元々楠に彫られた薬師如来があった場所で、明治初年に倒木された後、霊木として祀られています。堂は老朽化のため2014年に新築され、その後も整備が進められています。この薬師にお参りすると、病気の平癒に霊験があると信じられています。

清水が湧き出る岩窟もあり、弘法大師の御加持水と呼ばれています。参拝を終えた信者は、願いが叶った後に穴の開いた石を奉納する風習があり、堂内周囲には小石がたくさん積まれています。

大日寺はその長い歴史と豊かな文化財、巡礼者たちの信仰に支えられ、多くの人々に愛され続けています。

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