大杉谷

大杉谷（おおすぎだに）

三重県多気郡大台町、宮川の上流に位置する大杉谷は、吉野熊野国立公園内にある渓谷です。その手つかずの自然から「近畿の秘境」とも呼ばれ、黒部峡谷、清津峡谷と並ぶ日本三大渓谷の一つに数えられています。また、「日本の秘境百選」にも選ばれており、その豊かな自然環境は、2016年にはユネスコエコパーク「大台ケ原・大峯山・大杉谷」の一部として登録されました。

渓谷の景観と自然

大杉谷の最大の特徴は、原生林と数多くの滝、そして巨岩が織りなすダイナミックな景観です。特に、日本の[[滝百選]]にも選ばれている七ツ釜[[滝]]は、7段に連なる落差120mの名瀑で、訪れる人々を魅了します。その他にも、堂倉滝、与八郎滝、光滝、千尋滝など、大小さまざまな滝が点在し、渓谷美を一層際立たせています。

登山道

大杉谷へのアクセスは、宮川第三発電所と大台ケ原を結ぶ登山道のみに限られます。この登山道は、アップダウンが激しく、断崖絶壁に沿って続くため、非常に険しい道のりです。高低差は約1500mにも及び、多くの登山者が大台ケ原側から下るルートを選びます。登山道の管理は、公益社団法人大杉谷登山センターが行っており、入山料は無料ですが、協力金として年額1,000円の寄付を募っています。

登山ルートと所要時間

主な登山ルートと所要時間は以下の通りです。

日出ヶ岳（大台ケ原最高峰）：天気が良ければ太平洋（熊野灘）を一望できます。
粟谷小屋：大台林道沿いにあります。
堂倉避難小屋：大台林道沿いにあります。
堂倉滝：落差18m
与八郎滝：2段、落差40m
隠滝：落差15m
光滝：落差40m
七ツ釜[[滝]]：7段、落差120m、日本の[[滝百選]]
桃の木山の家：最大収容人員500名
平等嵓
ニコニコ滝：2段、落差50m
シシ渕
千尋滝：落差約180m
宮川第三発電所：東側の起終点、休憩所あり

日出ヶ岳 - 桃の木山の家：約6時間
桃の木山の家 - 第三発電所：約4時間半

登山道中には野宿に適した場所がほとんどないため、大杉谷の中央に位置する桃の木山の家での宿泊がほぼ必須となります。また、健脚者でない限り、大台ケ原や粟谷小屋、堂倉避難小屋での宿泊も考慮する必要があります。

施設

大杉谷登山道には、民間経営の山小屋が2軒あります。かつて、2004年の水害で登山道の一部が通行不能となりましたが、2014年には全線開通しました。ただし、過去には吊橋落下事故も発生しており、登山道の安全には十分な注意が必要です。

アクセス

奈良県側から

鉄道・バス：近鉄吉野線大和上市駅より奈良交通バスで大台ケ原へ
自動車：国道169号から大台ケ原ドライブウェイを経て、大台ケ原駐車場へ

三重県側から

鉄道・バス
(休日) 近鉄山田線・JR紀勢本線松阪駅より三重交通バスで大杉へ、その後観光船に乗船。
(平日) 紀勢本線三瀬谷駅より大台町営バスで大杉へ、その後観光船に乗船。
自動車：国道42号から三重県道31号大台宮川線を経て、第三発電所へ。（自動車は送迎のみ）

過去の事故

1979年、老朽化した吊橋で登山客が一度に渡ろうとして橋が崩落し、死傷者が出ました。この事故を教訓に、登山道の安全管理が見直され、整備が行われました。

その他

かつて大杉谷には森林鉄道が走っていました。また、過去には多目的ダムの建設が計画されましたが、自然保護の観点から計画は中止となりました。

参考情報

大台町観光協会
三重森林管理署
* 大杉谷登山センター

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