大樹町多目的航空公園

大樹町多目的航空公園

大樹町多目的航空公園（たいきちょうたもくてきこうくうこうえん）は、北海道広尾郡に位置する重要な航空実験の場です。1995年にオープン以来、この公園は様々な機関によって利用されており、特にJAXA（宇宙航空研究開発機構）や防衛省技術研究本部、大学研究所などがその活動の中心となっています。

実際、この公園はただの離着陸場ではなく、航空技術の研究や実験が行われる多目的な拠点です。農薬散布やグライダーの滑空場としても機能しているため、地元の農業やスポーツにも寄与しています。また、JAXAは2008年に大樹町との協定を結び、岩手県から大気球実験の拠点をこの公園に移設しました。これにより、ここは「大樹航空宇宙実験場」としての役割も担うことになりました。

未来の展望

将来的には、日本の再使用型宇宙往還機HOPEのための帰還用滑走路がここに設けられる予定であり、さらには新たなロケット射場の候補地としても注目されています。この地域においては、民間主導の宇宙港「北海道スペースポート（HOSPO）」を構築する計画が進行中です。これにより、宇宙産業の発展が期待されています。

主な実験とプロジェクト

大樹町多目的航空公園では、さまざまな航空実験やプロジェクトが行われています。以下にその一部を紹介します。
1. 成層圏プラットフォーム（JAXA、富士重工業）: 地上20 kmの成層圏に滞空する飛行船が、地球の観測や通信を行います。
2. CAMUIロケット（HASTIC）: 北海道の大学と民間企業が共同で開発したロケットで、多くの発射実験が行われています。
3. HOPE（再使用型宇宙往還機・JAXA）: H-IIロケットで打ち上げられ、自律飛行で宇宙から帰還する計画が進められています。このプロジェクトは中止されたものの、技術的な研究は続いています。
4. スペースプレーン（JAXA）: 宇宙空間を飛ぶための飛行機の基礎研究が行われています。
5. P-1哨戒機（防衛省技術研究本部）: 次期哨戒機で、エンジン試験が行われており、P-3C対潜哨戒機に替わる役割を果たします。
6. 無人航空機（TACOM・防衛省技術研究本部）: 飛行実験が実施されています。
7. 係留気球による通信実験（ソフトバンク）: 災害時に気球を利用して携帯電話の回線を復旧させる試みが行われています。

さらに、他の大学や民間研究グループによる小型ロケット、飛行船、無人航空機の開発や、騒音測定など多彩なプロジェクトが展開されています。

このように大樹町多目的航空公園は、未来の宇宙技術の発展に貢献し、さまざまな研究や実験が行われる場所として重要な役割を果たしています。

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