大濠公園

大濠公園は、福岡市中央区に位置する福岡県営の都市公園であり、国の登録記念物にも指定されています。公園は広大な池を中心に構成されており、その美しい景観は市民の憩いの場として親しまれています。また、公園を含む地域は行政地名としても存在し、住居表示が実施されています。

公園の概要

大濠公園の特徴は、福岡城の外濠であった草香江を基に造られた大きな池です。池にはいくつかの島が点在し、橋で繋がっているため、池の中央部を横断することができます。周辺には福岡城址（舞鶴公園）、福岡市美術館、NHK福岡放送局などの施設があり、多くの市民が訪れます。公園の周囲は約2kmで、ジョギングやサイクリングを楽しむ人の姿も多く見られます。春には、近隣の舞鶴公園や西公園とともに桜の名所として知られ、多くの花見客で賑わいます。

園内には、かつて新婚旅行中のマリリン・モンローとジョー・ディマジオが訪れたレストラン「花の木」がありました。その後、2015年に「ボートハウス大濠パーク」の一店舗として復活し、現在もその歴史を伝えています。

毎年8月1日には西日本大濠花火大会が開催されていましたが、2018年を最後に中止となっています。

公園の歴史

この地は、もともと博多湾に繋がる草ヶ江という入り江でした。江戸時代、福岡藩初代藩主の黒田長政によって、福岡城の外堀として整備されました。明治時代に福岡城が廃城となると、外堀の水循環が悪化し、環境問題が発生しました。

その後、大正時代に入り、松永安左衛門による遊園地化案や団琢磨による公園化の提案がなされました。1924年、福岡市が東公園の樹勢回復のために招聘した本多静六教授が、大濠の公園化を主張しました。翌年、本多教授の計画に基づき、公園整備が開始されました。

公園造成には、大濠の浚渫土砂に加えて、道路工事で排出された土砂が使用されました。工事費は、埋め立てた土地を住宅地として払い下げることで償還されました。1927年には東亜勧業博覧会が開催され、1929年に公園として開園しました。

戦後には進駐軍の兵舎が設置されましたが、1966年の福岡大博覧会を機に再整備されました。その後、大噴水や福岡市美術館などが建設され、1990年代にはジョギング・サイクリング用の道路も整備されました。大噴水は、福岡管区気象台の観測に影響が出たため、1988年に解体されました。

1980年代には池の水質が悪化しましたが、市民の署名活動の結果、1992年に浚渫工事が行われました。その際、池の底から焼夷弾が発見されました。

近年では、2020年に水草が異常発生し、イノシシが出没する騒動もありました。同年、園内の能楽堂では藤井聡太が王位を獲得しました。2021年には東京オリンピックの聖火リレーが予定されていましたが、新型コロナウイルス感染拡大のため、中止となりました。2022年には、「大濠テラス～八女茶と日本庭園と。～」が福岡市都市景観賞の大賞を受賞しました。

西湖モデル説

大濠公園が中国の西湖を模して造られたという説が広く知られていますが、実際には、本多静六教授の計画書には西湖をモデルにしたという記述はありません。この説は、昭和天皇の行幸に伴い、東屋を浮見堂として移設したことや、1968年の観光ガイドブックの記述がきっかけで広まったと考えられています。

公園の施設

公園内には、ボートハウス、能楽堂、児童遊園地、日本庭園などの施設があります。

行事

大濠公園では、以下のような行事が開催されています。

西日本大濠花火大会（2018年に終了）
筑紫舞の会（能楽公演）
大濠公園イルミネーション

町丁としての地理

大濠公園は、福岡市の都心部である天神の西約2キロメートルに位置し、中央区の北西部にあります。周辺は、荒戸、城内、六本松、大濠、黒門などの町に隣接しています。

河川

町内には、大濠池の排水路である黒門川が流れています。

都市計画

福岡市都市計画マスタープランにおいて、大濠公園は、緑と歴史・文化が調和した魅力ある空間づくりを行う地区に位置付けられています。周辺の公園との連携や緑地の保全が重視されています。用途地域は、一部が第二種住居地域、その他が第一種住居地域に指定されています。また、大部分が風致地区に指定されており、建築などに制限があります。

道路

主な幹線道路として、明治通り、国体道路、市道舞鶴公園線、城南線が挙げられます。

町域の変遷

大濠公園は、その歴史の中で、都市公園としての役割を担いながら、周辺地域の変遷とともに変化してきました。

人口

大濠公園の人口は、福岡市の住民基本台帳に基づき、毎年9月末に集計されています。

施設 (公園以外)

公園周辺には、高層マンションや高級マンションが立ち並び、良好な住環境が形成されています。

その他周辺の主な施設

福岡市美術館、NHK福岡放送局など

交通アクセス

鉄道：
福岡市地下鉄空港線：大濠公園駅
福岡市地下鉄七隈線：六本松駅（徒歩10分）

バス：
西鉄バスが運行しており、以下の停留所があります。
明治通り沿い：荒戸一丁目、大濠公園、黒門
国体道路沿い：福岡城・NHK放送センター入口、福大大濠中高前、大濠公園南
市道舞鶴公園線沿い：福岡市美術館東口、福岡城・NHK放送センター入口
城南線沿い：大濠

FUKUOKA OPEN TOP BUS：
シーサイドももちコース：大濠公園前、大濠公園・福岡城址
博多街なかコース：大濠公園・福岡城址

脚注

注釈

出典

外部リンク

水と緑のオアシス｜大濠公園／西公園（大濠公園管理事務所）
大濠公園能楽堂
福岡市美術館

もう一度検索