大草駅

大草駅

大草駅は、長崎県諫早市多良見町元釜に所在する、九州旅客鉄道（JR九州）長崎本線の駅です。特に、長崎本線のうち、旧ルートにあたる長与支線上に位置しており、美しい大村湾に面した景観が特徴的です。

歴史

この駅の歴史は、明治31年（1898年）11月27日に、当時の九州鉄道によって開業したことに始まります。開業当初は、旅客だけでなく貨物や荷物も取り扱う一般駅として営業していました。明治40年（1907年）7月1日には、鉄道国有法により国有化され、帝国鉄道庁（後に日本国有鉄道、国鉄となる）の所属となりました。

昭和に入ると、駅の機能は次第に縮小されていきます。昭和37年（1962年）2月15日には貨物の取り扱いが廃止され、昭和57年（1982年）9月20日には荷物扱いも終了しました。そして、昭和58年（1983年）1月には駅員が配置されない無人駅となりました。

国鉄分割民営化に伴い、昭和62年（1987年）4月1日からはJR九州の駅として運営されることになります。平成元年（1989年）4月1日には駅舎が改築され、大村湾の明るく開放的なイメージに合わせて薄緑色の平屋建ての新しい駅舎が誕生しました。比較的近年では、平成24年（2012年）12月1日に、ICカード「SUGOCA」による乗車サービスが開始され、利便性が向上しました。

駅構造

大草駅は、列車が行き違うことができる相対式ホーム2面2線を持つ地上駅です。駅舎は、諫早方面行きのホームに隣接して建てられています。二つのホームの間は、屋根のない跨線橋によって連絡されており、この跨線橋は、大村湾を象徴するような明るい青色に塗られています。ホームの高さは、列車の乗降をスムーズにするため、停車する車両の位置に合わせて一部が高くされています。

かつて貨物を取り扱っていた時代の側線跡が、諫早方面ホームの横に残されており、保線作業用の車両が停車している光景を見ることがあります。長崎本線の旧線（長与支線）上にある駅の中で、列車交換が可能な駅は少なくなっていますが、大草駅はその貴重な一つです。

現在は無人駅として運営されていますが、旅客の利便のため、自動券売機やICカード専用の簡易改札機が設置されています。過去には、駅舎改築後の時期において、近隣から長崎空港への高速船を運航していた安田産業汽船の社員が駅業務を代行していた時期もありました。

利用状況

駅の利用状況については、公開されている最も新しいデータとして、2016年度の1日平均乗車人員は138人でした。しかし、2017年度以降の利用者数データは公表されていません。

駅周辺

駅のすぐ近くには国道207号線が通っており、その先には穏やかな大村湾が広がっています。かつては、駅前の港から長崎空港へ向かう高速船が運航されており、地域の交通拠点としての役割も担っていました。また、大村競艇場の開催日には、競艇場へのアクセスとして高速船が運航されることもありました。周辺には、諫早市役所の伊木力支所などの施設も存在します。

バス路線

駅前からは、長崎県営バスの路線バスが利用可能です。諫早市街や東園方面、あるいは大浦・重尾方面へと向かう路線が停車します。

隣の駅

JR九州 長崎本線（長与支線）
東園駅 - 大草駅 - 本川内駅

関連項目

日本の鉄道駅一覧
安田産業汽船（かつて駅近くから高速船を運航していた海運会社）

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