大西洋岸森林南東部の保護区群

大西洋岸森林南東部の保護区群

ブラジルの大西洋岸森林南東部には、特に重要な自然環境が広がっており、これらはユネスコの世界遺産に認定されています。この地域には、パラナ州からサン・パウロ州を跨ぐ25の保護区が指定されており、その一部は大西洋岸森林生物圏保護区（Mata Atlantica Biosphere Reserve）にも属しています。

特に注目すべきは、この地域の核となる部分です。広さ約47万ヘクタールにも及び、広大な熱帯雨林を含んでいますが、残念ながらこれは本来の原生林のわずか8%に過ぎません。近代化による開発が原因で、多くの森林が失われた結果、今も残る豊かな生態系を次世代に守るために、世界遺産としての登録がなされました。

この地域には、マメ科、トウダイグサ科、クスノキ科、フトモモ科の樹木が生育しているほか、ラン科やパイナップル科、マングローブ植物も豊かに繁茂しています。また、ジャガーやオセロット、ヤブイヌ、メナミムリキ、クロガオライオンタマリン、アカオボウシインコ、ショウジョウトキといった多様な動物たちが生息していることも、この地域の生態系の重要性を示しています。

登録対象と保護拠点

この大西洋岸森林南東部の世界遺産は、様々な保護拠点で構成されています。

生態系保護拠点

生態系保護拠点には、連邦及びサン・パウロ州とパラナ州にまたがる複数の拠点があり、すべてIUCNのカテゴリーIa（Ecological Station）に分類されます。特に注目すべきは、ガレケ＝サバ生態系保護拠点で、ここはラムサール条約に登録されている水域。アオウミガメやラプラタカワイルカが生息しており、独自の生態系を保っています。

他にも、シトゥエ生態系保護拠点、シャウアシュ生態系保護拠点、ジュレイア＝イタティンシュ生態系保護拠点、メウ島生態系保護拠点、グワラグワス生態系保護拠点があり、各地点で固有の生物多様性が観察されています。

国立公園

特にパラナ州のスペラグイ国立公園（Parque Nacional de Superagui）は、IUCNカテゴリーII（国立公園）に指定されており、この地域の自然環境を保護する上で重要な役割を果たしています。

州立公園

サン・パウロ州やパラナ州にはいくつかの州立公園が存在し、多くはIUCNカテゴリーIIに分類されています。その中にはカルロス・ボテリョ州立公園やインテルヴァレシュ州立公園などがあります。

野生生物保護区

また、登録対象としてサン・パウロ州の野生生物保護区も存在します。いずれの保護区も国、州、個人の管理のもとで運営され、絶滅危惧種の保護にも寄与しています。

緩衝地域

さらに、緩衝地域としてカナネイア＝イグワペ＝ペルイベ景観保護地域など、五つの地域が指定されています。ここはクロガオライオンタマリンやズキンミズナギドリなどの貴重な動植物が生息しており、エコロジカルな重要性が高いとされています。

世界遺産登録基準

この大西洋岸森林南東部保護区群は、以下の世界遺産登録基準を満たしていることで認定されています。

1. 自然美と重要性を有する地域を含むこと。
2. 生態系の進化過程を示す重要な証拠であること。
3. 生物多様性の保全にとって意義深い自然生息地域が存在すること。

このように、ブラジルの大西洋岸森林南東部の保護区群は、豊かな生物多様性を保護するために重要な役割を果たしています。

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