大観密寺

仙台大観音と大観密寺：仙台のランドマークと静寂の聖地

宮城県仙台市泉区に位置する大観密寺は、その境内にある巨大な観音像、仙台大観音で広く知られています。仙台市街地から西北に位置する標高約180mの地に建つこの寺院は、真言宗智山派に属し、京都智積院を総本山としています。

仙台大観音：100mの祈りと展望

正式名称は「仙台天道白衣大観音」ですが、一般的には「仙台大観音」として親しまれ、寺院の通称にもなっているほどです。高さ100mというそのスケールは、1989年に政令指定都市に移行し、同時に市制100周年を迎えた仙台市を記念し、そして21世紀の繁栄を願って建てられました。地下にも21mの深さまで基礎が掘られており、その壮大さは訪れる者を圧倒します。

観音像の表面は白色フッ素樹脂塗装で覆われ、白毫の直径は74cm、手に持った如意宝珠は直径3m、重さ34tにも及びます。水瓶は直径2m、長さ8mで、なんと67tの水を収容できるといわれています。

仙台駅の方角を正面に向け、仙台市中心部からもその姿を見ることができます。台座にある胎内への入り口は龍の口を模しており、正面からはまるで観音が龍に乗っているように見えます。胎内は12層に分かれ、60mにも及ぶ吹き抜け構造になっており、各層には三十三観音、十二神将、百八体仏などが安置されています。エレベーターも設置されているため、容易に最上階まで行くことができます。最上階からは、仙台市街地や、天候が良ければ牡鹿半島まで見渡せる絶景が楽しめます。

内部拝観には守護札料が必要ですが、その費用に見合う価値のある体験となるでしょう。かつては地上アナログテレビ放送の電波障害対策として中継局が設置されていましたが、デジタル放送への移行に伴い廃止されました。

近年は表面にひびが目立つようになり、大規模な塗装工事が2023年6月から行われています。過去の工事では多額の費用がかかったため、今回はより効率的な工法が採用されています。

大観密寺：信仰と静寂の空間

大観密寺の創建は、双葉グループの創業者である菅原萬氏の強い信仰心と、仙台に新たな名所を造りたいという思いから始まりました。1991年9月1日、大観音の開眼法要と同時に隣接地に「ニューワールドホテル」（現仙台ヒルズホテル）が開業し、周辺地域はにぎわいを見せました。

しかし、現在では静寂に包まれた境内は、創建時とは異なる雰囲気を醸し出しています。計画発表時には反対運動もあったものの、今では地域住民の信仰のよりどころとして、また待ち合わせスポットとしても利用されるなど、地域に溶け込んでいます。近年は海外からの観光客、特にタイからの観光客が多く訪れるようになり、その知名度は海外にも広がりつつあります。

油掛大黒天：珍しい参拝法

大観密寺の境内には、大黒堂があり、油を掛けて拝む珍しい参拝法で知られる油掛大黒天が祀られています。この参拝法は、真言密教の増益法である浴油法に由来すると言われています。大観音建立以前からこの地に鎮座していたとされ、現在地はかつての位置から少し移動しています。

アクセス

大観密寺へのアクセスは、仙台駅西口から仙台市営バスを利用するのが便利です。「仙台大観音前」バス停下車、徒歩1分です。また、自動車の場合は、県道仙台北環状線から市道を経由してアクセスできます。無料駐車場も完備されているため、車でのアクセスも容易です。

まとめ

仙台大観音と大観密寺は、仙台の新たなランドマークとして、地域住民の信仰の対象として、そして観光地として、多様な役割を担っています。100mもの高さの観音像と静寂に包まれた境内は、訪れる者に忘れられない思い出を残してくれることでしょう。

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