大谷焼

大谷焼

大谷焼（おおたにやき）は、徳島県鳴門市大麻町大谷で生産される炻器です。2003年には経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定されました。

歴史

大谷焼の起源は、文化財にも指定されている「黒焼き物由来記」などの記録によると、1780年頃に豊後国（現在の大分県）から来た納田文右衛門という陶工であるとされています。文右衛門は四国八十八ヶ所霊場を巡礼中に、大谷村山田の里（現在の鳴門市大麻町大谷）に親子5人で滞在し、轆轤を使った陶芸の技術を初めて披露しました。当時の庄屋であった森是助が素焼窯を築き、蟹ヶ谷の赤土を使って火消壷などの日用雑器を焼いたのが始まりと伝えられています。

鳴門市の東林院には、文右衛門の墓として窯業関係者によって大切にされてきた墓があります。しかし、大谷焼研究家の豊田進の調査によって、その墓は萬七のものであることが判明し、大谷焼の陶祖は萬七であるという説が有力になりました（ただし、萬七と文右衛門が同一人物であるかどうかは明らかになっていません）。

特徴

大谷焼の最大の特徴は、寝轆轤（ねろくろ）と呼ばれる独特の轆轤を使用して作られる大甕です。寝轆轤は、相手が寝ながら足を使って回す仕掛けになっており、大甕作りには二人の息の合った共同作業が不可欠です。この大甕は、阿波地方の特産品である藍染めに使用する藍を仕込むための道具であり、「藍甕（あいがめ）」と呼ばれています。

大谷焼は元々、染付磁器も焼かれていましたが、経営難によりわずか3年で藩窯は廃窯となりました。その後、1784年に藍商人であった賀屋文五郎らの手によって再興され、信楽（滋賀県）の陶工の協力を得て、藍染めの需要に見合った大甕を焼くようになりました。

明治時代に入ると、化学染料の開発や生活様式の変化に伴い、藍甕の需要は激減し、大谷焼は不振に陥りました。しかし、大甕作りは脈々と続けられ、今日に至っています。現在では、大甕の他に、壺、皿、徳利、片口、茶器などといった小物も作られています。

近年の取り組み

近年では、伝統を守りながらも新しい試みも行われています。2015年には、東京ビッグサイトで開催されたAnimeJapan 2015にて、人気アニメ「Fate/stay night|Fate_stay_night」とのコラボレーション作品を制作し、話題を集めました。また、同年暮れには幕張メッセで開催された人気アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」の2nd SEASONキービジュアルをイメージしたコラボ作品「大谷焼for346PRODUCTION」を制作し、ANIPLEXより期間限定で完全受注生産にて発売されました。

大谷焼は、伝統を守りながらも時代のニーズに合わせて変化を続ける、魅力的な焼き物です。

関連項目

瀧野佳宏
陶磁器
田村栄一郎
森裕紀
陶器

外部リンク

大谷焼 - 大麻町商工会
大谷焼陶業協会
大谷焼 - 徳島県物産協会
* 伝統工芸品 徳島県

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