大間々駅

大間々駅（おおままえき）

群馬県みどり市大間々町大間々に位置する、わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線の要となる駅です。駅番号はWK05が割り振られています。木造の趣ある駅舎は、その歴史的価値から国の登録有形文化財や土木学会の選奨土木遺産に指定されており、わたらせ渓谷鐵道の施設群の中でも象徴的な存在感を放っています。

この駅の歴史は、1911年（明治44年）4月15日に足尾鉄道の「大間々町駅」として開業したことから始まります。開業当時、南方に位置する阿左美村には既に両毛鉄道の「大間々駅」が存在していたため、区別するために町名を冠した名称となりました。しかし、両毛鉄道の大間々駅が所在地の岩宿にちなんで岩宿駅と改称されたことを受け、足尾鉄道の大間々町駅は翌1912年（大正元年）12月1日、現在の「大間々駅」へと名称を変更しました。その後、1918年（大正7年）には国有化され、国有鉄道足尾線の駅となります。時代を経て、1984年（昭和59年）には荷物取扱いが廃止。国鉄分割民営化に伴い、1987年（昭和62年）には東日本旅客鉄道（JR東日本）の駅となりましたが、わずか2年後の1989年（平成元年）3月29日には足尾線が第三セクター化され、わたらせ渓谷鐵道の一員となりました。長い歴史の中で、地域の交通結節点としての役割を果たし続けています。

駅の構造は、一般列車が発着する相対式ホーム2面2線に加え、観光の目玉であるトロッコ列車「トロッコわたらせ渓谷号」専用の頭端式0番線ホーム1線を有する地上駅です。駅舎は木造で、風格があります。わたらせ渓谷鐵道の運行を統括するCTC（列車集中制御装置）が設置されており、当駅は路線の運行管理における中枢機能を担っています。駅舎から2番線ホームへは、跨線橋または構内踏切を利用して連絡します。列車運行としては、下り間藤方面行きの列車はすべて1番線から出発しますが、上り桐生方面行きは通常2番線を使用しつつも、当駅始発の一部列車は1番線から発車します。トロッコわたらせ渓谷号が利用する0番線ホームは有効長が短いため、客車の桐生寄り1両のみで乗降を行います。線路の終端部には、ディーゼル機関車を機回し（付け替え）するためのポイントも設けられています。なお、トロッコわっしー号は、一般列車と同様に1・2番線から発着します。駅構内にはわたらせ渓谷鐵道の本社と車両基地が併設されており、当駅を始発・終着とする列車の設定や、夜間の車両留置が行われ、車両の連結・解放作業も見られます。指令所が置かれていることから、駅員が終日配置されており、自動券売機も設置されています。出札窓口では、JR両毛線や東武伊勢崎線への連絡乗車券や、各種企画乗車券、さらには駅前の有料駐車場利用券の取り扱いも行っています。

利用状況を見ると、当駅は特に観光シーズンに活気を帯びます。大型バスの駐車が可能なため、団体旅行客などに利用しやすく、時期によっては始発駅である桐生駅よりも当駅から乗車する人が多くなるほどです。特にトロッコわたらせ渓谷号の運行日や紅葉の季節には、午前9時から11時頃にかけて下り列車に乗車する観光客で大変賑わい、ホームが朝の通勤ラッシュ時のような混雑を見せることもあります。観光客だけでなく、本社や車両基地、保線施設などがあるため、鉄道関係者の利用も少なくありません。また、地域の足としても重要で、朝の時間帯にはJR両毛線への接続を考慮した当駅始発の区間列車が運行されています。朝夕は地元の高校生や、上神梅地区から大間々中学校へ通う中学生が隣の上神梅駅との間で利用するなど、通学利用も多いのが特徴です。

駅のすぐ外には、みどり市役所大間々庁舎をはじめ、高校や中学校、図書館、博物館といった地域の主要施設が集まっています。また、国道122号が近くを通っています。周辺には、ながめ公園やながめ余興場、高津戸峡、はねたき橋、高津戸城跡など、自然や歴史を感じさせる観光スポットが点在しており、これらへのアクセス拠点としても機能しています。約1km南には、上毛電気鉄道と東武桐生線が乗り入れる赤城駅があり、乗り換えも可能です。

わたらせ渓谷線における大間々駅の隣駅は、桐生方面が運動公園駅（WK04）、間藤方面が上神梅駅（WK06）です。トロッコ列車も停車し、多くの人々がこの歴史ある駅を訪れます。駅前に保存されている、かつて活躍した車両たちも、訪れる人々の目を引きます。

もう一度検索