大阪教育大学附属天王寺小学校

大阪教育大学附属天王寺小学校

大阪教育大学附属天王寺小学校は、大阪市阿倍野区にある国立の小学校です。本校は大阪教育大学の附属学校として、児童への初等普通教育を行うことに加えて、大学における教育の理論と実践に関する研究を推進することを目的としています。

特徴と入学条件

本校への入学に際しては、いくつかの条件が設けられています。児童は保護者と同居している必要があり、また、学校から自宅までの通学時間が、徒歩または公共交通機関（有料特急等を除く）を利用して50分以内である地域に居住していることが条件となります。もし転居などによってこの通学時間が50分を超えた場合は、原則として他の学校へ転校することになります。

学校のシンボルである校歌は、著名な詩人である竹中郁氏が作詞を、そして作曲家の中田喜直氏が作曲を手がけています。

沿革

大阪教育大学附属天王寺小学校の歴史は、大阪教育大学の前身にあたる大阪府師範学校に始まります。学校では、1877年7月15日に大阪府師範学校内に附属演習学校が設置された日をもって、学校の創立として位置づけています。師範学校は同年6月に北区常安町（現在の北区中之島4丁目付近）に校舎を構えていました。

大阪府師範学校は一時的に法円坂へ移転し、その期間は東区にあった私立森小学校を附属演習学校として利用していました。その後、1881年には中之島の旧敷地に再び戻り、公立田蓑小学校を附属演習学校としました。そして、1882年9月には、中之島の師範学校構内に正式に附属小学校が併設されることになります。

明治時代の中期になると、中之島の校地が手狭になったため、1901年に師範学校は男子部と女子部に分かれ、それぞれ別の場所へ移転することになりました。師範学校男子部は同年に南区天王寺南河堀町（現在の大阪教育大学天王寺キャンパスの所在地）へ移転し、附属小学校もこれに伴って天王寺の師範学校校舎内へ移転しました。

1908年には大阪府師範学校男子部が大阪府天王寺師範学校と改称されたことで、附属小学校も大阪府天王寺師範学校附属小学校へと改称しました。この頃には、尋常科6年と高等科2年の課程が設けられていました。

1941年、国民学校令の施行により、学校は大阪府天王寺師範学校附属国民学校と名称を変更しました。太平洋戦争中の1943年には、師範学校が国営化され、大阪第一師範学校に改編されたことに伴い、附属国民学校も国立となり、大阪第一師範学校男子部附属国民学校となりました。

戦局が悪化するにつれて、1944年には初等科3年生以上の児童が、南河内郡東条村（現在の富田林市）へ学童集団疎開を実施しました。また、高等科の生徒は1945年に泉北郡信太村（現在の和泉市）で勤労動員に参加しています。

戦後の学制改革を経て、1947年に新しい小学校制度に基づき、大阪第一師範学校男子部附属小学校が発足しました。高等科はこの時に廃止され、新たに附属中学校が設置されました。

旧制師範学校が新制の大阪学芸大学へ移行する過程で、小学校の名称も短期間のうちに変遷しました。1949年には大阪学芸大学大阪第一師範学校男子部附属小学校となり、1951年には大阪学芸大学附属天王寺小学校と改称しました。

新制大学の発足に伴う大学設備の拡充のため、それまで大学構内にあった附属小学校は別の場所に移る必要が生じました。1951年5月、3年生以上の児童は、戦災で休校中だった大阪市立敷津小学校（浪速区）の校舎を借りて一時的に移転しました。1・2年生は天王寺の旧校舎に留まりました。

現在地の校地は1951年12月に購入され、1953年3月にはまず5・6年生の児童が敷津小学校から阿倍野区の新しい校舎へ移転しました。その後、1955年1月には全学年が現校地へ移り、移転が完了しました。

その後も、設置母体の名称変更に伴い、1967年に大阪教育大学附属天王寺小学校へ、1973年には大阪教育大学教育学部附属天王寺小学校へと名称が変更されました。そして、2004年の国立大学法人化に伴い、現在の大阪教育大学附属天王寺小学校という名称に至っています。

主な出身者

本校からは、様々な分野で活躍する多くの著名な卒業生を輩出しています。

政治家：上西小百合（元衆議院議員）、左藤恵（元法務大臣）、關淳一（元大阪市長）など。
行政・法曹：土肥孝治（元検事総長）、田中俊恵（警察官僚）など。
財界・経済：木下昌雄（日立造船元社長）、金森茂一郎（近畿日本鉄道元社長）、前田久吉（産経新聞創業者など）など。
学術：南博方（一橋大学名誉教授）、川島康生（国立循環器病センター名誉総長）、巽好幸（神戸大学教授）など。
芸術：保田春彦（彫刻家・画家、武蔵野美術大学名誉教授）。
文芸：高尾長良（小説家）、竹谷正（医師・推理作家）、畑耕一（小説家・劇作家）、富家孝（医師・ジャーナリスト）など。
芸能：エハラマサヒロ（お笑いタレント）、Mayu Wakisaka（シンガーソングライター）など。
スポーツ：佐藤慶明（元サッカー日本代表）など。

関係者

学校に関連する人物として、心理学者の鈴木治太郎氏が挙げられます。氏は1905年に教諭兼訓導として赴任し、学習障害を持つ児童に関する研究に貢献しました。

交通アクセス

本校は、JR大阪環状線・関西本線・阪和線の天王寺駅東口、大阪市営地下鉄御堂筋線天王寺駅3号・4号出口、近鉄南大阪線大阪阿部野橋駅庚申口（東口）から、東へおよそ500メートルほどの距離に位置しており、徒歩でのアクセスが可能です。

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