大阪港駅 (国鉄)

大阪港駅：大阪港の物流を支えた貨物駅の軌跡

大阪港駅は、大阪府大阪市港区に存在した、国有鉄道（国鉄）大阪環状線貨物支線（大阪臨港線）の貨物駅です。同じ名称のOsaka Metro中央線大阪港駅とは全く別の駅であることに注意が必要です。

開業と大阪港の物流

大阪港駅は、大阪臨港線の開通と同時に1928年（昭和3年）12月1日に開業しました。当初は関西本線今宮駅から分岐する関西本線貨物支線の駅として、建設中は「築港埠頭地」と呼ばれていました。浪速駅が主に操車作業を担ったのに対し、大阪港駅は大阪港の突堤や倉庫地帯に側線を伸ばし、貨物取扱いを中心とした駅として建設されました。各突堤への側線は1929年（昭和4年）3月に完成しています。そのため、他路線との直通列車は基本的に運行されず、大阪港駅発着の貨車は浪速駅で編成されてから運行される仕組みでした。

臨港線の建設は、鉄道省と大阪市の費用分担で行われ、浪速駅から先の区間は大阪市が負担し、鉄道省に委託して施工されました。浪速駅から大阪港駅間には、船舶の通航を確保するため、天保山運河などに可動橋が設置されるなど、細やかな配慮がなされていました。

大阪港駅では、綿花、和洋紙、木材、鉄鋼、砂糖などが主要な取扱貨物でした。多くの貨物は一旦倉庫に保管され、必要に応じて船積みされるという流れが一般的でした。周辺には多くの倉庫があり、引き込み線が敷設されていました。1957年（昭和32年）時点では、川西倉庫、宇部興産、三井倉庫、徳山曹達、日本セメントなど複数の企業が専用線を使用していました。

地盤沈下対策と環状線への編入

大阪港は地盤沈下の影響が大きく、低湿地化による機能低下が課題となっていました。第二次世界大戦後、かさ上げ事業が実施され、大阪港駅付近も1951年（昭和26年）度から大阪市と国鉄による共同事業としてかさ上げ工事が行われました。

1961年（昭和36年）4月25日、大阪臨港線の線路の一部を利用して大阪環状線が延伸開業し、大阪臨港線は境川信号場から分岐する大阪環状線の貨物支線となりました。これにより、大阪港駅も大阪環状線の駅に編入されました。

廃止

高度経済成長期以降、物流は自動車輸送中心へと移行し、臨港鉄道の利用度は低下しました。1982年（昭和57年）度末には第3突堤の留置線が撤去されるなど、大阪港駅関連の鉄道施設は順次撤去され、他の用途に転用されていきました。

国鉄の財政再建計画の一環として、1984年（昭和59年）2月1日、大阪港駅は書類上廃止となり、浪速駅の側線扱いとなりました。その後も大阪市は土地の有効活用を図るため、1985年（昭和60年）1月に国鉄に臨港線の廃止を打診し、1986年（昭和61年）2月に正式に廃止を申し入れました。そして、1986年（昭和61年）11月1日、浪速駅の側線扱いでの営業も終了し、大阪港駅は完全に歴史の幕を閉じました。廃止後は現状有姿で大阪市に施設が引き渡され、撤去作業は大阪市によって実施されました。

年表

1928年（昭和3年）12月1日：開業。関西本線貨物支線の終点駅。
1930年（昭和5年）10月26日：観艦式のため、この日限り臨時旅客扱いを実施。
1943年（昭和18年）6月1日：集貨と配達の取扱いを開始。
1961年（昭和36年）4月25日：大阪環状線の開業に伴い、大阪環状線貨物支線の駅となる。
1984年（昭和59年）2月1日：書類上廃止。浪速駅の側線扱いとして営業継続。
1986年（昭和61年）11月1日：浪速駅の側線扱いでの営業も終了。

隣の駅

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