天足彦国押人命

天足彦国押人命（アメタラシヒコクニオシヒトノミコト）について

天足彦国押人命は、生没年不詳の古代日本の皇族です。『日本書紀』では「天足彦国押人命」、『古事記』では「天押帯日子命（アメオシタラシヒコノミコト）」と表記され、その他の文献では「天足彦国忍人命」とも記されています。

概要

第5代孝昭天皇の皇子であり、第6代孝安天皇の同母兄、第7代孝霊天皇の外祖父にあたります。

『日本書紀』と『古事記』には、事績に関する具体的な記載はありません。しかし、多くの氏族の祖先として位置づけられており、古代の系譜において重要な人物です。

系譜

『日本書紀』と『古事記』によると、天足彦国押人命は孝昭天皇と世襲足媛（ヨソタラシヒメ、別名：余曽多本毘売命）の間に生まれた第一皇子です。同母弟には、第6代孝安天皇がいます。

子に関しては、『日本書紀』に娘の押媛が孝安天皇の皇后となり、孝霊天皇を産んだという記述があります。

後裔氏族

『日本書紀』では、天足彦国押人命は和珥臣（和珥氏）の祖とされています。

『古事記』では、春日臣、大宅臣、粟田臣、小野臣、柿本臣、壱比韋臣、大坂臣、阿那臣（吉備穴国造）、多紀臣、羽栗臣、知多臣、牟邪臣（武社国造）、都怒山臣、伊勢飯高君（飯高県造）、壱師君（壱師県造）、近淡海国造など、多数の氏族の祖とされています。

『新撰姓氏録』には、以下の氏族が後裔として記録されています。

左京皇別：大春日朝臣、吉田連、丈部
右京皇別：栗田朝臣、山上朝臣、真野臣、和邇部、安那公、野中
山城国皇別：小野朝臣、粟田朝臣、小野臣、和邇部、大宅、村公、度守首
大和国皇別：柿下朝臣、布留宿禰、久米臣
摂津国皇別：和邇部、羽束首
河内国皇別：大宅臣、壬生臣、物部
和泉国皇別：葦占臣、物部、網部物部、根連、櫛代造
右京未定雑姓：中臣臣
和泉国未定雑姓：猪甘首


これらの氏族は、天足彦国押人命を共通の祖先として、古代日本の社会で重要な役割を果たしました。

信仰

高知県南国市にある小野神社では、天足彦国押人命が主祭神として祀られています。この神社は、当地に移住した小野氏の一族が祖先神を祀ったのが始まりとされています。

関連事項

小野氏
和珥氏
春日氏
猪上神社 （奈良県生駒郡平群町）
小野神社 （滋賀県大津市小野）
多利思比孤

参考文献

「天押帯日子命」『日本古代氏族人名辞典 普及版』吉川弘文館、2010年。ISBN 9784642014588

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