天龍同盟

天龍同盟：プロレス界に革命を起こした伝説的ユニット

全日本プロレスにおいて、1987年から1990年にかけて活躍した「天龍同盟」は、プロレスラー天龍源一郎を中心とした革命的なユニットでした。その活動は、単なるプロレスの枠を超え、当時のプロレス界のあり方に疑問を呈し、変化を促す大きなムーブメントとなりました。本稿では、天龍同盟の結成から解散までの軌跡を、詳細にわたって解説します。

革命前夜：鶴龍コンビの終焉と新たな出発

デビュー当初、天龍源一郎とジャンボ鶴田は仲の良いタッグチーム「鶴龍コンビ」として活躍していました。しかし、天龍の地位向上に伴い、二人の関係は徐々に変化していきます。天龍は全日本プロレスの改善を訴えましたが、鶴田は現状維持を望んでおり、二人の間に溝が生じていきました。1986年の試合後、鶴田の言動がきっかけとなり、ついに二人の確執は表面化します。

龍原砲の結成と「天龍革命」

1987年、天龍は全日本プロレスの現状に危機感を抱き、マスコミを通じて会社批判を展開しました。この行動は、他の選手からの反発を招くこともありましたが、同時にプロレス界に大きな衝撃を与えました。元横綱・輪島大士の低迷や、鶴田のプロレスに対する姿勢にも不満を感じていた天龍は、鶴龍コンビを解消。ジャイアント馬場への直訴を経て、阿修羅・原とのタッグチーム「龍原砲」を結成します。

原とのタッグ結成は、1984年のUNヘビー級王座決定戦での印象や、国際プロレス出身という共通項、そして原自身の言葉が後押しとなり実現しました。龍原砲は、鶴田や輪島との激しい抗争を展開し、地方大会でも手を抜かない試合ぶりで大きな人気を集めます。マスコミはこのムーブメントを「天龍革命」あるいは「レボリューション」と呼びました。この名称は、天龍の後援者によってつけられ、ビートルズの楽曲「レボリューション」に由来しています。

天龍同盟の誕生と拡大

龍原砲の活動は、次第に多くの選手を巻き込む大きなうねりとなっていきました。川田利明、サムソン冬木、そして天龍の付き人だった小川良成が加わり、龍原砲は「天龍同盟」へと発展します。同盟メンバーは、リング内外で徹底的に抗争相手との対立を意識し、独自の行動を貫きました。移動手段も全日本本隊とせず、リング屋のトラックや電車を利用するなど、従来のプロレス界の常識を覆す行動を繰り返しました。

王座獲得と抗争の激化

天龍同盟は、数々のタイトルを獲得し、プロレス界の勢力図を大きく塗り替えました。天龍はUNヘビー級王座を獲得、龍原砲はPWF世界タッグ王座を獲得するなど、大きな成功を収めます。しかし、激しい抗争は、メンバーの負傷や、心理的な負担を増大させました。ハンセンとの激しい抗争は、天龍に深刻な怪我をもたらしました。

原の解雇と同盟の苦境

1988年、原の金銭トラブルによる解雇という衝撃的な出来事が起こります。天龍は大きなショックを受けましたが、川田を新たなパートナーとして世界最強タッグ決定リーグ戦に参戦、4位という結果を残しました。

三冠王座戴冠と龍艦砲の結成

1989年、天龍はついに三冠ヘビー級王座を獲得します。その後、ハンセンとタッグを組み「龍艦砲」を結成、世界タッグ王座も獲得しました。しかし、天龍とハンセンの間には、方向性の違いなども存在し、容易に連携が取れるわけではありませんでした。

天龍同盟の終焉

1990年、天龍同盟は徐々に勢いを失っていきます。メンバーの疲弊、関係者との摩擦、そして天龍自身の葛藤が重なり、天龍は天龍同盟の解散を表明します。その後、天龍は全日本プロレスを退団し、SWSに移籍します。天龍同盟は、1990年に解散しますが、その活動はプロレス史に大きな足跡を残しました。

天龍同盟のメンバーと戦績

天龍同盟のメンバーは、天龍源一郎、阿修羅・原、川田利明、サムソン冬木、小川良成でした。サポートメンバーとしてスタン・ハンセン、準メンバーとして北原辰巳が名を連ねています。彼らは数々のタイトルを獲得し、プロレス大賞でも多くの賞を受賞しました。

天龍同盟のレガシー

天龍同盟は、単なるプロレスユニットではなく、プロレス界に大きな変化をもたらした革命的な存在でした。彼らの活動は、後世のプロレス界にも多大な影響を与え続け、天龍源一郎というレジェンドのキャリアにおいても、欠かすことのできない重要な部分を占めています。天龍源一郎の引退興行のタイトルが「革命終焉 Revolution FINAL」であったことからも、その意義の大きさが伺えます。

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