太田城 (摂津国)

太田城（おおだじょう）

太田城は、大阪府茨木市に位置していた平城です。この城は、地域内でも特に古い歴史を持つとされ、平安時代末期の1180年頃、太田頼基によって築かれたと伝えられています。池田城が建武元年前後に築城されたのに対し、太田城は約150年も前に築かれたと考えられています。

城の構造と位置

太田城の正確な位置は特定されていませんが、西国街道に面した南側、安威川の東岸に位置し、城の半分は現在の東芝中央倉庫がある場所に推定されています。規模は東西、南北ともに約150メートルであったと考えられています。城の東端には高さ約2メートルの「城の山」と呼ばれる場所があり、物見櫓のような役割を果たしていたと推測されますが、現在では確認できません。

1960年、東芝が太田城跡地の半分を取得し、中央倉庫建設のために土地造成を行った際、幅2〜3メートルの青みがかった土が50メートルにわたって出現しましたが、遺物は発見されませんでした。東芝の工場は2008年3月末に閉鎖されています。

平安時代の城であった太田城は、南北朝時代や戦国時代の本格的な城郭とは異なり、砦、居館、館城の域を出なかったと考えられています。

歴史

太田城は太田頼基によって築城されたとされていますが、詳細を裏付ける古文献は少なく、不明な点が多いのが現状です。しかし、太田頼基に関する記述はいくつか残されています。

『平家物語』巻第四には、治承4年（1180年）の記述があり、太田頼基が多田源氏の一族として、摂津国で有力な武士であったことが示唆されています。ただし、頼基の系譜は厳密には多田源氏ではなく、源満仲の次男頼親に始まる大和源氏の系統です。

『玉葉』には、文治元年（1185年）に源頼朝と対立した源義経一行に対し、頼基が「城郭」を構えて牽制したことや、義経の所従である紀伊権守兼資を討ったことが記されています。

河原津の合戦

『平家物語』巻第十二には、河原津の合戦が描かれています。源義経が兄・源頼朝に追われ、西国へ逃れる際、太田頼基は「我が門の前を通るなら、矢の一本でも射かけるべきだ」と出撃し、河原津で義経を追い詰めました。河原津は、太田城から西国街道を通って安威川にかかる太田橋の西側、現在の茨木市西太田町周辺に位置します。

頼基は60騎で義経の500騎を包囲攻撃しましたが、自身も負傷し、多くの兵を失い退却しました。勝利した義経は、大物（現在の尼崎市）から船で落ち延びました。

廃城

太田城は約350年間この地域を治めましたが、細川晴元と細川高国との争いの中で、大永7年（1528年）2月、波多野元清軍によって攻略され、開城しました。その後、太田城の名は歴史から消え、この時に廃城になったと考えられています。

城跡へのアクセス

電車
JR京都線（東海道本線）茨木駅
阪急京都本線 茨木市駅
近鉄バス 2番のりば 東芝正面前下車
車
名神高速道路 茨木IC → 国道171号
近隣に駐車場はありません。

参考文献

『日本城郭大系』第12巻、大阪・兵庫、新人物往来社、1981年3月。
『わがまち茨木』城郭編、茨木市教育委員会、1987年3月。

関連項目

日本の城一覧
日本の合戦一覧
細川政権 (戦国時代)
太田城 - 同名の他の城。
太田茶臼山古墳

外部リンク

太田城周辺の地図
河原津周辺の地図

もう一度検索