波多野元清

波多野稙通：丹波を舞台に活躍した戦国武将

波多野稙通（はたのたねみち）、元名は元清（もときよ）。戦国時代の武将として丹波国で活躍した人物です。室町幕府10代将軍・足利義稙から偏諱を賜り、稙通と名乗ったと伝えられていますが、この事実は一次史料からは確認できません。

波多野氏の家督と初期の活躍

波多野清秀の子として生まれた元清は、若くして仙甫寿登に師事し、寿浩と名乗り、養賢と号していました。しかし、15歳の時、家督を継ぎ、還俗して波多野氏を率いることとなります。

父・清秀の死後まもなく、元清は永正元年（1504年）9月の薬師寺元一の乱の鎮圧に参加。その後、細川政元暗殺後に行われた細川澄元と細川高国の争いでは、高国側に加勢しました。

丹波制覇への道

永正5年（1508年）、元清は多紀郡の酒井氏との酒井合戦で勝利し、勢力を拡大。さらに同年7月には中沢（長沢）元綱を福徳貴寺にて討ち取り、丹波国における波多野氏の影響力を飛躍的に向上させました。

元清は細川高国からの信頼も厚く、その弟である香西元盛には、永正4年（1507年）に没した香西元長の跡を継がせ、同じく弟の柳本賢治には、永正17年（1520年）に没した柳本長治の後を継がせました。これらの行為は、波多野氏の勢力基盤を固める上で重要な役割を果たしました。

細川高国との決裂と最期

大永6年（1526年）、香西元盛が細川尹賢の讒言を信じた細川高国に殺害されると、元清は弟の柳本賢治と共に、細川晴元に呼応して高国に蜂起。高国方の軍勢を破ることに成功しました。

しかし、大永7年（1527年）頃には病に倒れたとされ、桂川原の戦いには不参加だった可能性も指摘されています。享禄3年（1530年）、元清は病没しました。

波多野稙通と丹波

波多野稙通は、丹波国における波多野氏の隆盛に大きく貢献した武将でした。酒井氏との合戦や中沢元綱との戦いなど、数々の武功を挙げ、丹波国を代表する勢力へと成長させました。また、細川氏との複雑な関係性の中で、巧みに政治的駆け引きを行い、自らの勢力を維持し拡大していったと言えるでしょう。

しかし、高国との関係悪化や晩年の病など、波多野氏の盛衰を決定づけた要因を理解するためには、当時の政治情勢や、細川氏、酒井氏、さらには周辺勢力との関係性を多角的に分析する必要があります。

参考文献

馬部隆弘「細川高国の近習と内衆の再編」『戦国期細川権力の研究』吉川弘文館、2018年
丹南町史編纂委員会 編『丹南町史 上巻』丹南町、1994年
渡邊大門「波多野氏の丹波国支配をめぐって―天文・永禄年間を中心に―」『鷹陵史学』第37号、2011年

関連事項

神尾山城
八木城 (丹波国)
畿内・近国の戦国時代
* 丹波酒井氏

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