太田治子

太田治子

太田治子（おおた はるこ、1947年11月12日 - ）は、日本の作家であり、日本ペンクラブの会員です。彼女は神奈川県小田原市で生まれました。

経歴

太田治子の父は、著名な作家である太宰治であり、母は太宰の代表作『斜陽』のヒロイン「かず子」のモデルとなった太田静子です。当時、妻子がいた太宰は、文学を志す静子と関係を持ち、その結果生まれた娘に「治」の字を与えて認知しました。しかし、翌年には太宰が玉川上水で自殺し、その後は静子が炊事婦や寮母として働きながら、静子の兄弟たちの愛情と支援を受けながら育ちました。彼女は私立青葉女子学園高等学校を経て、明治学院大学文学部（英米文学）を卒業しました。

1967年、太田治子は紀行文『津軽』で婦人公論読者賞を受賞しました。その後、刊行した『手記』は、吉永小百合主演でラジオドラマ化、映画化もされました（映画タイトルは『斜陽のおもかげ』）。1972年には、110枚の小説『私のハムレット』を『新潮』に発表しましたが、批評はほとんど出ませんでした（この件については『心映えの記』に記述があります）。

幼い頃から母・静子の影響で絵画に親しんでおり、その縁から1976年から3年間、NHK『日曜美術館』の初代アシスタントを務めました。美術に対する深い造詣を持ち、多くの美術関連の書籍やエッセイ、フィクションを執筆しています。

1982年11月24日、母・静子が69歳で亡くなりました。1986年には、母の思い出を綴った『心映えの記』で第1回坪田譲治文学賞を受賞し、同作品で直木賞の候補にもなりました。

私生活では、自身の出生の経緯や母・静子の肝臓癌の発覚、そしてその看護と死別などが影響し、長く独身を貫いていました。30代後半に編集者の知人の紹介で見合い結婚をし、1987年に女児（万里子）を出産しましたが、2004年に離婚しました。離婚後は、文筆業を中心に再び精力的に活動しています。

著書

『手記（十七歳のノート）』新潮社、1967
『青春失恋記』新潮社、1979
『空色のアルバム』構想社、1979
『ノスタルジア美術館』求竜堂 1981
『言いだしかねて 父、太宰治そして愛、家庭を語る 対談集』主婦の友社 1982
『マリちゃんの人魚姫』学校図書 1982
『窓をふくエラちゃん 太田治子の童話館』講談社 1984
『母の万年筆』朝日新聞社、1984
『心映えの記』中央公論社、1985
『私のヨーロッパ美術紀行』朝日新聞社 1985
『気ままなお弁当箱』中央公論社 1989
『ふたりの散歩道』PHP研究所、1990
『万里子と私の美術館』朝日新聞社、1992
『ガルボ・ハット 母と娘とわたしの時間』六興出版 1992
『天使と悪魔』朝日新聞社、1994
『空からの花束』中央公論社 1996
『空の上のお星さま』清流出版 1998
『絵の中の人生』新潮選書、1999
『青い絵葉書』新潮社、2001
『花の見た夢』講談社、2002
『星空のおくりもの』新潮社 2003
『風の見た夢』講談社 2004
『恋する手』講談社 2005
『小さな神さま』朝日新聞社 2007
『明治・大正・昭和のベストセラー』日本放送出版協会 2007
『石の花 林芙美子の真実』筑摩書房 2008
『明るい方へ　父・太宰治と母・太田静子』朝日新聞出版、2009
『時こそ今は』筑摩書房、2011
『夢さめみれば　近代日本洋画の父・浅井忠』朝日新聞出版、2012
『星はらはらと 二葉亭四迷の明治』中日新聞社 2016
『湘南幻想美術館 湘南の名画から紡ぐストーリー』かまくら春秋社, 2019

共著

『いまこそ私は原発に反対します。』 、『ダチョウの父』、日本ペンクラブ編、平凡社 2012
『花をめぐる物語』安西篤子,尾崎左永子,小池昌代,馬場あき子,星野椿共著 かまくら春秋社 2015

朗読

『新約・古典ギリシヤ語の読み方(<カセット+テキスト>)』蛭沼寿雄著　山本書店、1974、付属カセットテープのギリシャ語朗読

出演

ETV特集「斜陽」への旅 -太宰治と太田静子の真実-（2009年10月4日、NHK教育テレビ）

関連作品

斜陽のおもかげ - 1967年に公開された、治子の『手記』を原作とする映画。斎藤光正監督、吉永小百合主演。

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