太白山 (韓国)

太白山（テベクサン）

太白山（テベクサン）は、韓国の江原特別自治道と慶尚北道にまたがる標高1,567mの山です。1989年に江原道の道立公園に指定され、2016年には国立公園に昇格しました。この美しい山は、約70平方キロメートルの広さを誇ります。

歴史的背景

古代より民族の霊山とされ、高麗時代から官吏や一般市民がここで天帝と共に過ごした歴史があります。この山は信仰の場であり、多くの神話や伝説がこの地域に根付いています。特に、風水思想においても重要で、白頭山から続く脈が智異山に向かい、洛東頂脈と交わる地点に当たります。

頂上部の特徴

太白山の山頂は複数のピークが連なっており、中央の霊峰（ヨンボン）がその最高峰です。この霊峰の北には同じく標高1,567mの将軍峰、東側には標高1546mのプソ峰、さらに文秀峰が続いています。北側には最も高い咸白山も存在し、登山者にとっては魅力的なルートとなっています。

名勝と観光スポット

太白市の穴洞にある望鏡寺（マンギョンサ）は、高さ1,460mの場所に位置し、文殊菩薩を祀る仏教寺院です。この寺院は新羅の僧、慈蔵によって創設されたと伝えられています。また、寺の近くには「龍の泉」と呼ばれる、韓国で最も高い場所にある泉があります。これらの名所は多くの観光客を引き寄せています。

また、山頂近くにはツツジや古いイチイの木々が生い茂り、春には花が咲き誇ります。冬には霧氷の美しさが特に際立ち、観光シーズンとなります。加えて、古代からの巫俗に基づく儀式が行われてきた天祭壇（チョンジェダン）という祭壇が存在し、これは主要民俗文化財にも指定されています。

登山口であるタンゴル広場では、毎年1月に太白山雪祭りが開催され、地域の炭鉱博物館も訪れることができます。これにより、観光だけでなく、地域の歴史にも触れることが可能です。

生態系の豊かさ

太白山の周辺は非常に豊かな自然環境が広がっており、絶滅危惧種22種類、天然記念物10種類など、全2637種類の野生生物が確認されています。国立公園の管理原則に基づき、外来種の除去が行われており、特に20世紀初めに日本から持ち込まれたカラマツの伐採が進められています。元々この地域にはアカマツが生息していましたが、過去の炭鉱開発によって大量に伐採されたため、代わりにカラマツが植えられた経緯があります。近年では50万本のカラマツが伐採対象とされています。

太白山は、自然の美しさと豊かな歴史を兼ね備えた場所であり、観光客や自然愛好者にとっての理想的なスポットと言えるでしょう。

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