奉行衆

奉行衆（ぶぎょうしゅう）について

奉行衆とは、室町幕府における法曹官僚の集団であり、時に右筆方とも呼ばれています。彼らは幕府直属の文官で、武士集団である奉公衆と対を成す存在でした。この集団は、幕府の重要な行政機能を支える役割を担い、歴史的に重要な位置を占めていました。

奉行衆の起源と初期の役割

室町幕府の成立は、鎌倉幕府の解体とともに行われましたが、奉行人の起源は鎌倉時代にまでさかのぼります。大江氏や二階堂氏などの家系が、その後も奉行人として室町幕府に仕官したことにより、この伝統が受け継がれました。初期の奉行人たちは、引付と呼ばれる裁判機関でその役割を果たし、奉書や御教書の作成に従事しました。

その後、奉行人は仁政方や庭中方などの訴訟機関にも配置されるなど、法的な役割を拡大させていきました。しかし、足利直義の失脚や、将軍が朝廷の政治機能を吸収する動きにより、奉行人の任務も新たな局面を迎えました。

奉行衆の発展と変化

引付の廃止後、奉行人は新たに政所や侍所、問注所などへ配置され、特命を担当する「別奉行」が設けられるなど、その役割は多様化していきました。将軍の主宰する御前沙汰には、有力な奉行人が参加を許されるようになり、彼らは意見状と呼ばれる判決原案を作成する立場にありました。御前沙汰の重要性が増す中で、奉行人は将軍の私的な権限に基づいて、直接意見を述べることもできるようになりました。

特に足利義教の時代においては、奉行人の役割がさらに重視されるようになり、法令や先例を基にした重要な決定が行われるようになりました。御前奉行人は、若干の特権を持ち、将軍の側近として様々な影響を行使しました。

武士団との権力関係

この時期、奉行人の中でも最高位の者は「公人奉行」と呼ばれ、奉行衆はますます力を持つようになります。その結果、過去の武士団との権力関係が複雑化し、しばしば衝突が起こりました。特に足利義政の時代には、奉行衆と奉公衆との間での対立が見られ、権力を巡っての争いが浮き彫りになりました。

戦国時代への移行

戦国時代へと突入するにあたり、奉行衆はその存在意義を維持しましたが、内部の分裂も避けられませんでした。10代将軍足利義稙と11代将軍足利義澄の時代には、奉行衆が双方に分かれてしまうこととなり、御前沙汰の運営にも変化が生じました。新たに編成された内談衆が事務を担うなど、奉行衆の役割も変わりつつありました。

結論

奉行衆は室町幕府の行政機構の中で、文官として非常に重要な役割を果たしてきました。彼らの活動は、幕府の安定に寄与し、政治的な影響を与え続けました。室町幕府の存在が揺らぎ始めた時期にも、奉行衆はその歴史的な役目を全うし続ける存在でありました。

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