檜枝岐村

概要

檜枝岐村は、福島県会津地方の南西部に位置し、南会津郡に属する山村です。日本有数の豪雪地帯であり、特別豪雪地帯に指定されています。この地域には平家の落人伝説が残り、古くから焼畑農業や山菜採り、木地加工、狩猟などが生活の基盤でした。村内には「星」「平野」「橘」といった特徴的な姓が多く見られ、それぞれに歴史的な背景があります。

高度経済成長期以降、ダム開発や尾瀬の観光地化が進み、1980年代からは農家が民宿経営に転身する動きが広がりました。1986年には野岩線が東京と直結し、観光地としての発展が加速しました。1979年には景観保全のため、家々の屋根が赤錆色に統一され、独特の景観を形作っています。また、山人料理や檜枝岐歌舞伎、スキー場などが観光客に人気です。山人料理は、山菜やキノコ、川魚、熊やウサギなどの肉を使った鍋料理が特徴で、ハコネサンショウウオの唐揚げやトウガラシの塩漬け「山人漬」といった珍しい料理も味わえます。

地理

檜枝岐村は、会津駒ヶ岳、燧ケ岳、帝釈山といった標高の高い山々に囲まれ、その間を縫うように檜枝岐川が流れています。村の中心部は標高920 - 1000mの地点に位置し、特に燧ケ岳は東北地方で最も高い山です。村の面積の大部分（約98%）は森林で占められており、可住地面積はごくわずかです。福島県内で最も人口が少ない市町村であり、日本で最も人口密度の低い自治体となっています。

村の主な山には、会津駒ヶ岳（2,133m）、燧ヶ岳（2,356m）、帝釈山（2,060m）があり、河川は檜枝岐川（伊南川上流部）、只見川が流れています。また、尾瀬沼は代表的な湖沼です。

隣接する自治体としては、福島県の只見町、南会津町、群馬県の片品村、新潟県の魚沼市、栃木県の日光市があります。特に只見町とは地続きですが、直接繋がる道路がなく、南会津町を経由して迂回する必要があります。片品村へは尾瀬国立公園を介して徒歩でのみ移動可能で、車両での移動は栃木県や南会津町を経由して大きく迂回しなければなりません。新潟県の魚沼市へ繋がる国道352号は冬季閉鎖され、栃木県日光市へ繋がる川俣檜枝岐林道は未舗装の悪路で冬季は通行止めとなります。

気候

檜枝岐村は、亜寒帯湿潤気候・湿潤大陸性気候に属し、12月から3月にかけては日平均気温が氷点下となる厳しい寒さに見舞われます。降雪量が多く、特別豪雪地帯に指定されています。冬季には-15℃を下回ることも珍しくありません。

人口

人口密度は1km²あたり1.38人で、日本で最も低い自治体です。観光業が盛んなため、サービス業従事者の割合が突出しています。村内には高校がなく、高校生は村外に下宿せざるを得ないため、10代後半の人口が極端に少ないです。しかし、子育て支援に力を入れているため、14歳以下の人口は福島県平均を上回っています。

歴史

1889年に町村制が施行され、檜枝岐村が誕生しました。1922年には全村に電灯が灯り、1950年には小中学校の校舎が新築されました。1975年に国道352号、1981年に国道401号が制定され、1987年には村民体育館が完成。2021年には新庁舎が開庁しました。

行政

檜枝岐村は、1878年の郡区町村編制法施行時に発足し、1889年の町村制施行以降、一度も合併を経験していない珍しい自治体です。現在の村長は平野信之氏で、2023年5月29日に就任しました。過去には村長選で親族間の対立が激化し、その後は長らく無投票当選が続いていましたが、近年は選挙も行われています。

交通

村内には鉄道は通っておらず、最寄りの駅は会津鉄道会津線の会津田島駅と会津高原[[尾瀬口駅]]です。路線バスは会津乗合自動車が運行しており、会津田島駅から檜枝岐役場前、尾瀬方面へ向かう路線があります。また、夏季には尾瀬シャトルバスや、奥只見湖遊覧船に接続する路線バスが運行されます。

道路は、国道352号、国道401号、主要地方道である福島県道1号沼田檜枝岐線、飯豊檜枝岐大規模林道、川俣檜枝岐林道などがあります。しかし、冬季閉鎖や未舗装路が多く、周辺地域への移動には注意が必要です。

警察

村内には駐在所がなく、南会津町内の駐在所が管轄しています。

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事

奥只見ダム、桧枝岐温泉、三条の滝（日本の滝百選）、尾瀬、歴史民俗資料館、尾瀬写真美術館、桧枝岐の舞台、檜枝岐歌舞伎などがあります。また、会津駒ヶ岳山開き、燧ヶ岳山開き、真夏の雪祭り、新そば祭りなど季節ごとのイベントも開催されます。

名品

舞茸ごはん、岩魚、山椒魚、山菜、裁ち蕎麦などが有名です。

関連書籍・映像

『秘境・檜枝岐の歌舞伎』や『日本の地誌4 東北』などの書籍や、NHKの「新日本紀行」や「新日本風土記」で檜枝岐村が紹介されています。

外部リンク

公式ウェブサイトも存在します。

檜枝岐村は、豊かな自然と独自の文化が共存する魅力的な村です。

もう一度検索