奥州都市圏

奥州都市圏

奥州都市圏は、岩手県の南部に位置し、奥州市を中核とする都市圏です。この地域は歴史的に、現在の奥州都市圏という名称が使われる以前は、水沢都市圏として広く知られていました。

成り立ちと地域名

奥州都市圏の形成において重要な節目となったのは、2006年2月20日に実施された大規模な市町村合併です。この時、かつての水沢都市圏を構成していた自治体、すなわち水沢市、江刺市、そして胆沢郡に属していた前沢町、胆沢町、衣川村の2市3町が合併し、新たに奥州市が誕生しました。このような背景から、現在の奥州市の区域は、かつての水沢都市圏が包含していた範囲とほぼ一致しています。

さらに歴史を遡ると、合併前のこの地域は、「胆沢郡」と「江刺郡」という二つの郡を合わせた区域として「胆江地区（たんこうちく）」と呼ばれていました。この地域名は今なお広く使われており、岩手県交通胆江営業所、地域の日刊紙である胆江日日新聞、医療機関である胆江病院、地元のタクシー会社である胆江タクシーなど、数多くの地元企業や団体名にその名残を見ることができます。

都市圏の定義と人口規模

一般的に都市圏は、中心となる都市への通勤・通学者の流動を示す統計的な定義に基づき把握されます。奥州都市圏も例外ではなく、奥州市への通勤・通学者が全就業人口の10%以上を占める周辺自治体を含んだ「都市雇用圏」（10%通勤圏）として捉えられます。2010年の国勢調査に基づく統計では、この奥州都市圏の人口は約14万人に達しており、岩手県内における重要な都市圏の一つとして、地域の経済活動や住民生活の中心的な役割を担っています。

自治体変遷の背景

奥州市が誕生した2006年前後の期間は、日本全国的に「平成の大合併」と呼ばれる大規模な市町村合併が活発に行われた時期でした。岩手県内でも同様の動きが見られ、奥州市の合併以外にも様々な自治体の再編が行われました。例えば、奥州市の誕生に先立つ2006年1月1日には、花巻市、稗貫郡の石鳥谷町、大迫町、そして和賀郡の東和町が合併し、新たな花巻市が発足しています。奥州都市圏を形成する奥州市の具体的な成り立ちや、合併に関わる詳細な経緯については、かつての胆沢郡や江刺郡に関する歴史的な記述や、自治体変遷に関する公式資料などを参照することで、より深く理解することができます。

地域を支えるメディア

奥州都市圏とその周辺地域では、地域に根差した様々なメディアが存在し、住民生活に密着した情報を提供しています。代表的なものとしては、胆江地区の出来事をきめ細かく伝える日刊紙、胆江日日新聞があります。また、地域の観光情報に特化した奥州平泉観光新聞も発行されています。映像メディアとしては、水沢テレビやえさしわいわいテレビといったケーブルテレビ局が地域情報を発信しており、音声メディアとしては、コミュニティFM放送局である奥州エフエム放送（cFM）が地元の話題や音楽を届けています。

主要な交通網

奥州都市圏における主要な交通手段の一つとして、鉄道網が挙げられます。特に、日本を南北に貫く大動脈である東北新幹線が地域内を通過しており、広域からのアクセスや都市圏外への移動を容易にしています。また、地域内の移動や、近隣の主要都市との接続においては、歴史ある主要在来線である東北本線が重要な役割を担っています。これらの鉄道インフラは、地域住民の通勤・通学やビジネス、観光など、様々な活動を支える基盤となっています。

地理的文脈と関連地域

奥州都市圏が位置する地域は、岩手県の中央部から南部にかけて広がる広大な平野部、北上盆地の一部を形成しています。岩手県内には、奥州都市圏の他にも、県都を中心とする盛岡都市圏、岩手県内陸部の交通の要衝である北上都市圏、そして宮城県との県境に近い一関都市圏といった主要な都市圏が存在します。奥州都市圏はこれらの近隣都市圏と地理的、経済的に関連しながら、地域全体の発展に貢献しています。

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