奥村一

奥村 一（おくむら はじめ）

奥村一（1925年1月13日 - 1994年4月2日）は、日本の作曲家で、主に映画音楽や吹奏楽、そしてピアノ作品を手がけたことで知られています。埼玉県に生まれた彼は、音楽の道を志し、1944年に陸軍の戸山学校軍楽生徒隊に入隊しました。ここでオーボエを習得し、その後、東京音楽学校（現在の東京芸術大学）に進学。1947年に本科の作曲科を卒業し、1949年には研究科を修了しました。彼の作曲の師としては、成田為三や橋本国彦、細川碧、信時潔、伊福部昭などがいます。

音楽活動と代表作

1950年代から1960年代にかけて、奥村は多くの映画音楽を手がけ、特にリズムとダイナミックスを重視した作品で評価されました。代表的な作品の一つ「ピアノ・ソナチネ第4番」は、1961年に発表され、彼のスタイルを象徴する作品となっています。彼のピアノ作品は幅広く、初心者向けのものから高度な技術を要求するものまで多岐にわたります。

また、奥村は吹奏楽の分野でも活躍し、藤田玄播や斎藤高順、岩河三郎などの作曲家たちとともに「ニューエイトの会」を結成。このグループは、意欲的に新しい吹奏楽曲を創作することを目指しました。特に、彼の行進曲「太陽の下に」は第19回全日本吹奏楽コンクールの課題曲に選ばれ、広く演奏されるようになりました。さらに、全日本吹奏楽連盟の委嘱による「青春は限りなく」といった作品も、注目を集めました。

多彩な作品群

奥村の作品はピアノだけでなく、フルート、チェロ、吹奏楽、さらにはバレエやオペラに至るまで多様です。彼が手がけたピアノ曲の一部には、

• - ピアノ・ソナタ第1番（1949年）
• - ピアノ・ソナタ第2番（1956年）
• - 日本民謡ピアノ曲集（1963年）
• - 「黒いひとみ」の主題による幻想曲

などがあり、彼の音楽は国内外で高く評価されています。さらに、校歌もいくつか手がけており、さいたま市立宮前中学校の校歌がその一例です。

映画音楽への貢献

奥村はまた、1950年代から1960年代にかけて、日本の映画音楽においても多大な影響を与えました。彼の代表的な映画音楽には、1952年から1959年にかけて多くの映画に楽曲を提供した「波」や「父帰る」、さらには「若君罷り通る」などがあり、多くの聴衆に親しまれました。この時期、彼は多くのラジオドラマの音楽も手がけており、ジャンルを超えた音楽活動を展開しました。

最後に

奥村一は1994年にその生涯を閉じましたが、彼の音楽は今でも多くの人々に愛され、私たちの心に残っています。彼の多様な作品は、作曲家としての彼の才能を証明しており、彼の音楽を生活の中で聴くことができる喜びは、今後も続いていくことでしょう。

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