斎藤高順

斎藤高順：多才な音楽家、その生涯と作品

斎藤高順（さいとう たかのぶ、1924年12月8日 - 2004年4月11日）は、作曲家、指揮者、そして元幹部自衛官という多彩な顔を持つ人物です。東京府（現・東京都）に生まれ、自由作曲家協会会員、日本吹奏楽指導者協会理事、日本国民音楽振興財団理事を歴任するなど、日本の音楽界に深く貢献しました。彼の音楽は、映画、吹奏楽、オーケストラなど幅広いジャンルに及び、多くの人々に感動を与え続けています。長男はチェロ奏者の斎藤章一、長女はバイオリニストの内藤景子、長女の夫はホルン奏者の内藤貴司、孫は俳優の内藤光佑という音楽一家でもあります。

生い立ちと音楽への道

1924年、東京・深川の酒屋に次男として生まれた斎藤高順は、1942年に日本大学第一中学校（旧制）を卒業後、1943年に東京音楽学校（現・東京芸術大学）に入学。1947年に卒業、1949年には同校の研究科を修了しました。音楽学校在籍中には陸軍戸山学校に入校し、部隊歌や吹奏楽曲の作曲に従事。戦後は、映画音楽を中心に作曲家としてのキャリアをスタートさせ、小津安二郎監督作品をはじめとする数々の映画音楽を手がけました。

自衛隊・警察音楽隊での活躍

斎藤高順の転機となったのは、行進曲『ブルーインパルス』の作曲です。この曲がFM東京の番組テーマ曲として使用されたことがきっかけで、航空自衛隊に招聘され、1972年から1976年まで航空音楽隊（後の航空中央音楽隊）の隊長を務めました。1等空佐で自衛隊を退官後、11年間警視庁音楽隊長を務めるなど、公的機関においてもその音楽的才能を発揮しました。

作曲家としての評価

斎藤高順は、東京音楽学校で信時潔に作曲を、金子登にピアノと指揮法を師事しました。彼の音楽は、小津安二郎監督の没後、作品が再評価されるにつれて、その音楽への注目度も高まっています。現代の代表的なバッハ演奏家であるセドリック・ペシャは、斎藤の音楽に「ゴールドベルク変奏曲」に通じる抽象性と瞑想性を見出しています。

主な作品

斎藤高順は、多岐にわたるジャンルの作品を残しました。

管弦楽曲
室内交響曲（1955年）
今様
吹奏楽曲
組曲「エメラルドの四季」
クラリネットと吹奏楽のためのバラード
交響詩「オンリー・ワン・アース」
交響詩「自然への回帰」
交響詩「空」
吹奏楽のためのコンチェルティーノ
輝く前進
行進曲「ブルー・インパルス」
行進曲「輝く銀嶺」（1971年全日本[[吹奏楽コンクール]]課題曲）
行進曲「オーバー・ザ・ギャラクシー」（1980年全日本[[吹奏楽コンクール]]課題曲）
幻想風行進曲「マーチング・エスカルゴ」
バンドのためのインテルメッツォ「夢現」
バンドのためのメルヘン「マッチ売りの少女」
フライング・エクスプレス
室内楽曲
サキソフォン四重奏曲
フルートと弦楽四重奏のためのソナタ
クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロによる「四季」
ヴァイオリン、ハープ、打楽器のためのコンポジション
弦楽四重奏曲ニ短調「今様」
5つの日本民謡
ピアノのための幻想風喜遊曲
歌曲
風鐸
映画音楽
東京物語（1953年）
少年死刑囚（1955年）
乳房よ永遠なれ（1955年）
早春（1956年）
孤獨の人（1957年）
東京暮色（1957年）
女子寮祭（1957年）
白い夏（1957年）
彼岸花（1958年）
浮草（1959年）
秋日和（1960年）
あじさいの歌（1960年）
いのちの朝（1961年）
秋刀魚の味（1962年）
猫が変じて虎になる（1962年）
* みにくいアヒルの子（1970年）

これらの作品は、斎藤高順の幅広い音楽性と才能を物語っています。彼の音楽は、これからも多くの人々に愛され、演奏され続けることでしょう。

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