奥裾花渓谷

奥裾花渓谷：奇岩と自然が織りなす絶景

長野県長野市鬼無里に位置する奥裾花渓谷は、裾花川上流に約5キロメートルにわたり続く渓谷です。奥裾花ダムから上流に広がり、落差約100メートルの断崖が連なる景観は圧巻で、長野県指定の名勝にも選ばれています。

紅葉と自然美

秋の紅葉シーズンには、ダム湖である奥裾花湖に映る紅葉が特に美しく、多くの観光客が訪れます。その美しい景観は、「日本百景」や「21世紀に残したい日本の自然100選」にも選ばれるほどです。

奥裾花自然園

渓谷の最奥部には、本州最大規模のミズバショウ群落が広がる奥裾花自然園（奥裾花湿原）があります。この湿原は「日本の自然100選」、「日本の秘境100選」、「水源の森百選」にも選ばれており、貴重な自然が保護されています。

渓谷の地形と奇岩

奥裾花渓谷周辺は、侵食に弱い泥岩、砂岩、凝灰岩などが分布しており、これらの地層が褶曲し、裾花川の浸食によって奇岩が形成されました。これらの奇岩は、渓谷の景観をより一層魅力的にしています。

主な奇岩・地形

木曽殿アブキ：間口約60メートル、奥行き約20メートルの巨大な岩穴。かつては善光寺地震以前は数倍の規模があったとされ、木曽義仲が野営したという伝承が残っています。
ハチの巣状風化石（幻夢洞）：風蝕によって蜂の巣のように無数の穴があいた奇岩です。奥裾花渓谷ではありませんが、同じ裾花川上流の深谷沢のものが長野県の天然記念物に指定されています。
奇岩千畳敷：広大な岩盤が広がる景観。
ケスタ：硬い地層と柔らかい地層が交互に重なり、浸食によってできた非対称な地形。
ポットホール：川底のくぼみに小石が入り、回転しながら周囲の岩を削ってできた円形の穴。
サンドパイプ：地層の中に砂が詰まった管状の構造。
漣痕（リップルマーク）：かつての地層が堆積した際にできた波の跡。
日影向斜の向斜軸：地層が波打つように曲がった構造のうち、最も低い部分。
アズメ沢の化石群：地層の中から発見された化石群。
クルワドウ沢の団塊：球状の岩石。

地すべり

奥裾花渓谷の地質は、砂岩や泥岩が水に脆いため、融雪期にはしばしば地すべりが発生します。1997年には上流の濁川で大規模な地すべりが発生し、高さ60～70メートルにも達する天然ダムが形成されました。

関連情報

裾花川：奥裾花渓谷を流れる川。
奥裾花自然園：渓谷最奥部にある湿原。
奥裾花ダム：渓谷入口にあるダム。
裾花渓谷：奥裾花渓谷を含む裾花川の渓谷。

外部リンク

* 21世紀に残したい日本の自然100選


奥裾花渓谷は、豊かな自然と独特な地形が織りなす、訪れる人々を魅了する場所です。四季折々の美しい景色を求めて、ぜひ一度訪れてみてください。

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