妖怪シリーズ

大映妖怪シリーズ：昭和が生んだ妖怪絵巻

「妖怪シリーズ」は、1968年から1969年にかけて大映（現：角川映画）が製作した特撮時代劇映画のシリーズです。全3作が製作され、妖怪たちが大挙して登場する、当時としては斬新な内容で人気を博しました。エンディングの百鬼夜行は、シリーズの代名詞とも言えるでしょう。

制作の背景

「ガメラシリーズ」の成功を受け、大映は新たな特撮シリーズとして「大魔神シリーズ」を立ち上げました。さらに、1960年代後半に少年雑誌を中心に巻き起こった妖怪ブームに着目し、水木しげるや楳図かずおといった妖怪漫画家たちの作品に触発され、「妖怪シリーズ」が誕生しました。従来の大映が得意としていた怪談映画に、妖怪という新たな要素をプラスすることで、幅広い層にアピールすることを目指したのです。

「第一次怪獣ブーム」の影響も色濃く、大魔神と同名のキャラクターが登場するドラマ版『悪魔くん』も好評を博し、水木自身の『ゲゲゲの鬼太郎』と共に多方面に影響を与えました。怪獣映画の制作ハードルが高まる中、より手軽に制作できる妖怪ものに注目が集まり、水木や楳図の大映への関与が始まり、「妖怪ブーム」を加速させました。

シリーズの特徴

「妖怪シリーズ」の最大の特徴は、何と言ってもその豊富な妖怪キャラクターです。映画には、おなじみの妖怪からオリジナルの妖怪まで、多種多様な妖怪が登場し、奇想天外な物語を繰り広げます。また、特撮技術を駆使した映像表現も魅力の一つで、妖怪たちの姿を生き生きと描き出しています。

シリーズ第1作『妖怪百物語』は、『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』と同時上映されるなど、他の大映特撮映画との組み合わせで上映されました。また、雪女を扱った『怪談雪女郎』も公開され、妖怪映画ブームを盛り上げました。

楳図かずお原作の『蛇娘と白髪魔』も同時期に製作され、『妖怪大戦争』と並映されました。昭和の『ガメラ』シリーズの関係者が多数参加している点も注目されます。

シリーズ作品一覧

妖怪百物語（1968年）
監督：安田公義
妖怪大戦争（1968年）
監督：黒田義之
東海道お化け道中（1969年）
監督：安田公義、黒田義之

妖怪の造型製作は、八木正夫（エキスプロダクション）が『ガメラ』シリーズなどと並行して担当しました。

シリーズの影響

「妖怪シリーズ」は、その後の妖怪作品に多大な影響を与えました。特に、1986年に製作されたオリジナルビデオ作品『妖怪天国』は、大映でのシリーズ復活企画から生まれたと言われています。また、2005年にはシリーズ2作目『妖怪大戦争』が三池崇史監督によってリメイクされ、新たな世代にも「妖怪シリーズ」の魅力が伝えられました。

関連作品

本所七不思議（1937年）
怪談雪女郎（1968年）
透明剣士（1970年）
着信アリ（2003年）

後継作品

妖怪天国（1986年）
さくや[[妖怪伝]]（2000年）

リメイク作品

妖怪大戦争（2005年）
妖怪大戦争 ガーディアンズ（2021年）

映像ソフト

「妖怪シリーズ」は、LD-BOXやDVDコレクションとして発売されています。デアゴスティーニ・ジャパンから発売された『隔週刊 大映特撮映画DVDコレクション』には、リメイク版を含むシリーズ作品が収録されています。

まとめ

「妖怪シリーズ」は、昭和の時代に大映が生み出した、妖怪たちの魅力が詰まった特撮時代劇です。その斬新な内容と映像表現は、多くの観客を魅了し、後の妖怪作品に多大な影響を与えました。今なお色褪せない「妖怪シリーズ」の世界を、ぜひ一度体験してみてください。

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