姚思廉

姚思廉（よう しれん）

姚思廉（557年 - 637年）は、中国・唐初の歴史家であり、字は簡之とされています。ただし、一説には名を簡、字を思廉とする見解もあります。彼の本貫は呉興郡武康県（現在の浙江省湖州市徳清県）です。

生い立ちと初期の経歴

姚思廉は、陳の吏部尚書であった姚察の子として生まれました。父の姚察は、梁と陳の二つの王朝の歴史書を編纂しようとしましたが、志半ばで完成には至りませんでした。幼少の頃、思廉は父から『漢書』を学び、歴史への関心を深めました。

はじめ、思廉は陳の会稽王主簿として仕官し、その後、隋に入ると漢王府参軍事に任じられました。しかし、父の喪に服するために一旦辞職し、喪が明けると河間郡司法書佐として復帰しました。その後、煬帝の命により、崔祖濬とともに『区宇図志』の編纂に携わりました。さらに、代王侍読に任ぜられ、その才能を発揮しました。

唐朝での活躍

李淵が長安を占領した後も、思廉は代王楊侑の側近として正論を主張し、周囲から一目置かれる存在でした。唐が建国されると、李世民の秦王府に召し抱えられ、文学館学士となりました。玄武門の変を経て、李世民が皇太子となると、思廉は太子洗馬に任じられ、その信任を得ました。

貞観初年、姚思廉は著作郎・弘文館学士に任命され、魏徴とともに梁と陳の二つの王朝の歴史書編纂の大役を担うことになりました。そして、貞観10年（636年）には、『梁書』（50巻）と『陳書』（30巻）を見事に完成させました。これらの歴史書は、後世において二十四史に数えられることとなりました。この功績により、散騎常侍に任ぜられ、豊城県男に封じられました。

晩年と死

貞観11年（637年）、姚思廉は生涯を終えました。死後、太常卿の位が追贈され、昭陵に陪葬されました。諡は康とされ、その功績が讃えられました。また、彼には『文思博要』という著作もあり、その学識の深さを窺い知ることができます。

歴史家としての業績

姚思廉は、父の遺志を継ぎ、歴史編纂に情熱を注ぎました。特に『梁書』と『陳書』は、それぞれの王朝の詳細な記録であり、後世の歴史研究に大きな貢献をしています。彼の編纂した歴史書は、単なる過去の出来事を記録するだけでなく、その時代の人々の生活や文化、政治状況を鮮やかに描き出しており、歴史研究における重要な資料となっています。姚思廉の功績は、中国の歴史における重要な一ページを形作っており、後世に語り継がれるべきものです。

伝記資料

姚思廉に関する詳細な情報は、以下の歴史書に記録されています。

『旧唐書』巻73 列伝第23「姚思廉伝」
『新唐書』巻102 列伝第27「姚思廉伝」

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