姜聖熙

姜聖熙（カン・ソンヒ、朝鮮語: 강성희）は、1972年9月7日生まれの大韓民国の労働運動家、そして政治家です。ソウル特別市出身の姜氏は、進歩党に所属し、第21代国会議員として活動しました。特に、当選当時には韓国国会において進歩党が有する唯一の議席を占める議員として注目を集めました。

姜氏は韓国外国語大学校言語認知科学科を卒業しています。労働運動の分野では、現代自動車全州工場の労働組合幹部を務めた経験や、全国宅配労働組合全北支部の事務局長を歴任するなど、現場での豊富な経験を持っています。

政治家としては、進歩党において、貸出金利引下運動本部の本部長や、全羅北道党の民生特別委員会委員長といった党内役職を務めてきました。

国会議員としては、2023年4月5日に実施された第21代総選挙の全州市乙選挙区における再選挙で当選を果たしました。この選挙では、無所属で出馬した林呈燁氏を破り、議席を獲得しました。国会議員当選後、姜氏は当初、欠員が生じていた国会国防委員会に配属される予定でした。しかし、進歩党が過去に親北政党と指摘された統合進歩党の後身にあたるという見方から、国家機密漏洩のリスクが懸念され、国民の力所属の鄭宇沢議員らから配属への反対意見が出ました。最終的には、与党である国民の力の尹在玉院内代表と、最大野党である共に民主党の院内代表との間で調整が行われ、尹院内代表が国防委員会へ移り、姜氏は本人の希望通り国会政務委員会に配属されることになりました。

政治的な立場や主張として、姜氏は当選直後のインタビューで、朴槿恵（パク・クネ）政権下で「内乱陰謀操作」とされた事件に関与し、失脚した李石基（イ・ソッキ）元統合進歩党議員について、名誉回復と復権を強く主張しています。また、現在の尹錫悦（ユン・ソンニョル）政権が進行させているとされる「検察独裁」に対して、強い警戒感を示しています。

他の政治的な動きとしては、2023年5月には、共に民主党の親李在明（イ・ジェミョン）系初当選議員らによる会合「公正社会フォーラム」に参加したことがあります。しかし、これに対して一部の進歩系野党からは、「民主党の亜流」「民主党の二軍」といった批判的な声が上がりました。結果として、姜氏は同会合が自身の議政活動に有用ではないとの判断に至り、退会しています。

また、姜氏は公的な場で注目される行動を取ることもあります。2024年1月18日に全北特別自治道の発足祝賀式典が開催された際には、出席していた尹錫悦大統領と握手する機会があった際、その場で大統領の国政運営を批判しました。その後も大声で批判的な言動を続けたため、大統領室の警備員によって会場から強制的に退場させられる出来事が発生し、広く報じられました。

個人的な経歴として、国会議員に再選挙で出馬した時点で、過去に計5件の前科を有していたことも知られています。その内訳は以下の通りです。2005年には、公務執行妨害と暴力行為等処罰に関する法律違反の容疑で罰金200万ウォンを科されました。2011年には、業務妨害の容疑で罰金500万ウォンの判決を受けました。2013年には、業務妨害および暴力行為等処罰に関する法律違反などの容疑で、罰金300万ウォンを科されています。2015年には、業務妨害容疑で罰金200万ウォンの判決を受け、同年には別の業務妨害と暴力行為等処罰に関する法律違反の容疑で、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年の判決を受けています。これらの前科は、主に労働運動に関連する活動中の出来事に起因すると見られています。

さらに、再選挙期間中のエピソードとして、姜氏の陣営スタッフ2名が、選挙区住民に米を配布した疑いで警察に緊急逮捕されるという事態がありました。これに対し、姜氏側は、全羅南道から来たボランティアの党員が、選挙運動の合間に取引先への販促用の精麦を送付しようとしていたものであり、それが誤解を招いたものであると釈明しています。

姜聖熙氏は、労働運動で培った経験を背景に、進歩党の議員として社会の弱い立場に寄り添う姿勢を見せている一方、政権や既成政治に対する批判的な言動や、過去の経歴、選挙期間中の出来事など、様々な側面で注目を集めている人物です。韓国政治における進歩勢力の一翼を担う存在として、今後の活動が注目される人物と言えるでしょう。

もう一度検索