姫 (姓)

姬姓の概要

姬（き）は古代中国において重要な姓の一つであり、上古八大姓の一つに数えられます。日本では「姬」という字が「姫」として流用されていますが、もともとこの二つは異なる漢字として存在します。2020年の中国本土における姓の統計では、姬は上位100姓には入らず、台湾においては2018年の調査で276番目の多さであることが示されており、約788人の持ち主が存在しています。一方で、日本における「姫」は477番目に位置し、おおよそ157人の姓とされています。

姬姓の歴史的背景

歴史をさかのぼると、姬姓は禹の子孫であり、黄帝や帝嚳の子孫と結びついているとされています。特に后稷という人物は、姬を姓として名乗り、その子孫である古公亶父が周王朝の始祖となり、彼の曾孫である武王が殷を滅ぼして周王朝を築きました。このため、姬姓は周王室の家系に根ざした姓となったのです。

周王室から分岐した姬姓を持つ国々の中には、呉、燕、晋、韓、魏、管、魯、鄭、衛、霍、虢、曹、蔡、虞、滕、随、韓、劉などが挙げられます。これらの諸国は、周王朝が滅亡していく過程で現在の国々へと発展していきました。また、春秋戦国時代には、彼らの多くが姓ではなく氏名を使用するようになり、姬姓としての認識は次第に薄れていきました。

姬姓に関する史料

漢の武帝が封禅を行う際、周の末裔を探して姬嘉という庶流筋の人物を発見し、周子南君として封じた事例も記録されています。姬嘉は衛の公族に属し、時代が進む中で転封を繰り返しながら西晋の期間まで存続したとみられていますが、336年に戦乱によりその家系は断絶しました。

その後の文献では、例えば『新唐書』において王羲之の著名な琅邪王氏が姬姓に出自するという記述がありますが、これは後の時代に付会されたものと考えられています。また、中唐時代には避諱によって改姓を余儀なくされたこともあり、玄宗の治世では発音の類似から姬姓の人々は周姓に改めるようにと求められました。

それでも、北宋時代の『百家姓』には姬姓が名前の一つとして記載されており、今日でも中国国内には少数の姬姓の人々が存在しています。戦国末期以降には、姓と氏が同一化し、姬姓は他の姓と同じく家族名として使われるようになったため、現代の姬姓が詐称や改姓でない限り、古代の名残とされています。

現代の著名な姬姓人物

近世において姬姓を持つ著名な人物には、明末清初の武術家である姫際可、人民政治家である姫鵬飛、副総理や外交部長を歴任しました。また、エンターテインメント界では姫麒麟や姫玉、姫晨牧などの俳優が知られています。

姬姓は古代から現代にかけて様々な変遷を経てきましたが、その歴史的背景や文化的な意義は今なお多くの研究や議論の対象となっています。

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