姫木城

姫木城とは

姫木城（ひめきじょう）は、鹿児島県霧島市の国分平野北部に位置する山城です。比売之城（ひめのき）、比売奴城、比売妓城、熊襲城とも呼ばれ、その歴史は古代にまで遡ります。国分平野の北側を囲むシラス台地の一端が、平野に突出した地形を利用して築かれました。山塊は岩戸火砕流の溶結凝灰岩で構成されており、標高は169メートルです。山腹には断崖絶壁が連なり、特に南端の峰は国司ヶ岳と呼ばれています。本丸は山塊の北面に位置し、北東側に大手門、西側に搦手門が設けられていました。

城の構造

姫木城は、その地形を最大限に活用した堅牢な構造が特徴です。城の北側には貫抜瀬戸と呼ばれる尾根があり、そこを介して橘木城と隣接していました。本丸の裏手には、年間を通して涸れることのない水源があり、城内には田畑も存在していたため、長期にわたる籠城にも耐えうる構造でした。山裾を流れる松永用水と重久溝を内堀とし、天降川と手籠川を外堀として利用していました。

歴史

姫木城は、古代から山城として利用されてきました。720年（養老4年）に勃発した「隼人の反乱」の際には、律令政府に対抗した隼人側がこの城に立て籠もったとされています。中世になると、姫城氏、本田氏、島津氏、税所氏、伊集院氏といった様々な豪族が城主となり、激しい勢力争いが繰り広げられました。

年表

720年（養老4年）：隼人の反乱が発生し、女性領袖の桂姫がこの城に立て籠もりました。
1337年（延元2年、建武4年）：税所氏の一族である重久篤兼がこの城に篭もり、肝付兼重と野辺盛忠の連合軍の攻撃を退けました。
1373年（応安6年）：税所氏と島津氏の間で戦いが起こりました。
1377年（天授3年、永和3年）：税所氏と相良氏の連合軍が島津氏を攻撃した際、税所氏側がこの城に籠城しました。島津氏は3年をかけてこれを攻め落としました。この戦いでは、島津氏久が城の南西にある咲隈（えみくま、笑隈とも書く）に布陣し、兵糧攻めを試みました。しかし、籠城側が馬を水で洗う様子を見せつけ、水が豊富であることを誇示したため、氏久は悔しがったと伝えられています。また、この戦いで島津氏側の碇山左衛門（金吾）が、勢い余って城内の大岩を真っ二つに斬ってしまったとされ、この岩は金吾石と呼ばれています。戦いの後、城は本田氏に与えられました。
1447年（文安4年）：島津忠国がこの城に篭もり、本田重恒と税所氏の連合軍を退けました。
1548年（天文17年）：付近の領主であった本田董親の施政に抗議するため、同族の本田実親がこの城に立て籠もりました。その後、董親が島津氏に追われると、城は伊集院忠朗の所有となりました。

まとめ

姫木城は、その歴史を通じて、数々の戦いの舞台となってきました。その堅牢な構造と、周辺の地形を活かした戦略的な配置は、攻守ともに有利な城であったことを物語っています。現在では、その遺構が往時の姿を偲ばせるのみとなっていますが、その歴史的価値は高く評価されています。

参考文献

橋口兼古、五代秀堯、橋口兼柄　『三国名勝図会　巻之40』 1843年。
国分市編　『市報こくぶ』　1982年12月1日。
中村明蔵『南九州古代ロマン ハヤトの原像』丸山学芸図書 1991年。
国分郷土誌編さん委員会編　『国分郷土誌　上巻、下巻』　国分市、1998年。

関連項目

日本の城一覧
隼人
* 隼人の反乱

もう一度検索