子鹿物語 (アニメ)

『子鹿物語 THE YEARLING』の概要

『子鹿物語 THE YEARLING』は、1983年11月8日から1985年1月29日まで、NHK総合テレビジョンで放送されたアニメ作品です。この番組は、全52話で構成されており、毎週火曜日の19:30から19:58に放送されていました。制作は講談社とエムケイが担当し、アメリカの作家マージョリー・キナン・ローリングスの同名小説を原作としています。

特徴と制作の背景

本作は当時のアニメーション技術を活用し、オープニングやエンディング部分ではコンピュータグラフィックス（CG）を用いて作画を行ったり、デジタル彩色が実用化されたデジタルアニメとして知られています。特に第2話は、全編がフルデジタルで制作され、歴史的な作品とされています。このCG作成は、エムケイの関連会社であるジャパン・コンピュータ・グラフィック・ラボ（JCGL）が担当しました。

このアニメーションでは、セルアニメーションも用いられ、通常のアニメ作品よりも多く、1話あたり1万2千枚のセルが使用されています。さらに、本放送中のAパートとBパートの間には、実写による自然や生態系のドキュメンタリー映像が挿入され、視聴者に教育的でもありエンターテインメントでもある価値を提供していました。

放送当初、講談社は1946年に制作された映画の映像化権を有していたMGMとのライセンス契約を結んでいたため、オープニングテーマではMGM映画の象徴的なロゴである「レオ・ザ・ライオン」がクレジットされるという独自の演出が施されていました。また、ワーナー ブラザース ジャパンとの共同提供も実施されていました。

再放送とソフト化の道のり

このシリーズは1990年にNHK衛星第2テレビジョンの「衛星アニメ劇場」枠で再放送され、その後1995年にCSのLET'S TRYチャンネルで放送されましたが、現在まで再放送は行われていません。また、ソフト化については1990年に全話を収録したVHS（全13巻）が発売されたのみで、現在は視聴が難しい状況となっています。

声の出演と制作スタッフ

キャストには以下のような声優が参加しています：

• - ジョデイ・バクスター: 太田淑子
• - フォダウィング・フォレスター: 戸田恵子
• - ペニー・バクスター: 小林昭二 など

制作陣には、監督におおすみ正秋、脚本に雪室俊一や馬嶋満、音楽にすぎやまこういちが名を連ねています。キャラクターデザインを担当したのは関修一で、作画監督としても活躍しました。音響監督には山田悦司が名を持ち、音楽のクオリティを高める手助けをしました。

主題歌と書籍

本作のオープニングテーマは「ハロートゥモロー」で、エンディングテーマは「空から星が降りてくる」でした。これらは作詞に山川啓介、作曲にすぎやまこういちが担当し、放送当時には『みんなのうた』でも楽曲が紹介されました。

さらに、アニメを再構成した絵本として『NHKテレビ名作 子鹿物語』が1984年に出版され、全5巻の作品として多くの支持を受けました。

総括

『子鹿物語 THE YEARLING』は、アニメーション技術の革新と感動的な物語が融合し、視聴者に深く印象に残る作品として位置付けられていますが、再放送やソフト化が難しくなった今、その存在の重要性を再認識するきっかけとなるかもしれません。この作品はただの娯楽であるだけでなく、教育的な側面も持つアニメとして評価されています。

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