孫翊

孫翊（そん よく）は、後漢末期の武将。字は叔弼（しゅくひつ）。別名は孫儼（そん げん）。父は孫堅（そん けん）、兄に孫策（そん さく）と孫権（そん けん）を持つ。

生涯

若くして朱治（しゅ ち）によって孝廉（こうれん）に推挙され、その才能を認められた。しかし、性格は短気で、感情の起伏が激しかったため、朱治は常に道義を説き、たしなめたという。孫翊の性格は、彼の生涯に大きな影響を与えることとなる。

建安5年（200年）には、兄である孫権とともに、司空（しくう）の曹操（そうそう）から招聘（しょうへい）を受けている。これは、曹操が孫家の勢力を評価し、懐柔しようとしたものと考えられる。孫策が重体となった際、張昭（ちょうしょう）らは孫策の風格を受け継ぐ孫翊を後継者に推したが、孫策は孫権を呼び寄せ、家督を継がせた。

建安8年（203年）、孫翊は叔父である呉景（ご けい）の後任として、偏将軍（へんしょうぐん）・丹陽太守（たんようたいしゅ）に任じられた。丹陽郡は、当時、山越（さんえつ）と呼ばれる異民族が割拠する地域であり、治安が不安定であった。孫翊は、その鎮撫（ちんぶ）に手腕を発揮することが期待された。

しかし、翌建安9年（204年）、孫翊はかつて盛憲（せいけん）配下であった嬀覧（き けん）と戴員（たい げん）を重用したことが、彼の運命を大きく変える。孫翊は、嬀覧と戴員が辺洪（へん こう）と親交を結んだことを叱責したため、恨みを抱いた彼らは手を組み、孫翊を暗殺した。

孫翊の突然の死は、孫呉の勢力に大きな衝撃を与えた。孫翊の妻である徐氏は、夫の仇を討つため、下手人である辺洪に賞金を懸けたという。

孫翊は、若くして才能を認められながらも、短気な性格が災いし、家臣の裏切りによって命を落とした悲劇の武将として、歴史に名を残している。

家族
父：孫堅
兄：孫策、孫権
弟：孫匡、孫朗
妻：徐氏
* 子：孫松

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