宇治山田港

宇治山田港について

宇治山田港（うじやまだこう）は三重県伊勢市に位置する地方港湾で、五十鈴川の河口に形成されています。この港湾は、五十鈴川と勢田川の水面、さらには二見浦沖も港湾区域として含んでおり、その特徴的な立地のため、土砂の堆積問題が深刻です。結果として、航路の利用はほとんどなく、砂利の取扱いが中心となっています。

港湾区域と地区

1979年に公布された三重県告示第54号に基づいて、宇治山田港の港湾区域が定義されました。この区域には「勢田川参宮線鉄橋」が含まれ、伊勢市内の神久一丁目と吹上二丁目間に架けられています。港湾地区は以下の6つの地域に分けられています:

1. 大湊地区（おおみなと） - 造船業が中心の地域。
2. 神社地区（かみやしろ） - 建築材料の取扱いが多い。
3. 竹ヶ鼻地区（たけがはな） - 詳細不明。
4. 一色地区（いっしき） - 漁業の拠点。
5. 今一色地区（いまいしき） - こちらも漁業基地。
6. 二見地区（ふたみ） - 観光客の訪れるエリア。

歴史的背景

宇治山田港は近世に大湊・神社・河崎の3つの港から成り立っており、これらは伊勢神宮との関連が深く、特に大湊は歴史的にも重要な港として栄えてきました。室町時代から伊勢湾最大の港としての地位を占め、造船業も繁盛しました。神社地区は参宮客の上陸地点となり、河崎は地域で消費される食料が荷揚げされる場所として知られています。

明治時代には、神社と名古屋港、豊橋港を結ぶ航路が開設され、多くの参宮客が利用しましたが、陸上交通の発達によりその重要性は減少していきました。昭和時代の前期まで、大湊・神社・河崎の港は伊勢への物資の約80%を輸送していましたが、戦後の高度経済成長時代には、その役割も陸上交通に移行しました。

1952年には、これらの港が宇治山田港として地方港湾に指定されましたが、その後の発展は造船業や建築材料、漁業、観光業へとシフトしていきました。1996年から2002年にかけて航路の整備が行われ、地元住民の意見を反映したマスタープランが策定されるなど、港の活性化に向けた取り組みが進められました。

旅客ターミナルの整備とその問題

宇治山田港旅客ターミナルは、中部国際空港とを結ぶ定期航路のために整備されたもので、約6億4300万円の費用がかけられました。しかし、運航予定だったセラヴィ観光汽船の撤退により、ターミナルの活用は難航しました。市長の謝罪や代替業者の選定が試みられるも、事態は進展せず、最終的には2011年にターミナルの取り壊しが決定されました。

港湾統計と今後の展望

宇治山田港の入港船数や貨物量はほとんどなく、定期航路は主に観光客を対象にした「和船みずき」による運航が行われています。この航路は地域間の交流や訪問客の受け入れを目的としています。現代においても、宇治山田港は地域の歴史や文化を生かした港町づくりが続けられており、今後の発展が期待されています。

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