宇部電気鉄道デキ11形電気機関車

宇部電気鉄道デキ11形電気機関車

宇部電気鉄道デキ11形電気機関車は、1937年（昭和12年）に宇部電気鉄道が新製した直流用電気機関車です。この機関車は、同社の戦時買収に伴い、日本国有鉄道（国鉄）に編入され、後にED25形（初代）と改称されました。

概要

デキ11形は、1937年に日本鉄道自動車工業（現・東洋工機）で1両が製造された凸型の小型電気機関車です。当時、日本鉄道自動車工業は、中小私鉄向けに電車部品を流用した小型電気機関車を多数製造しており、本形式もその典型的な例と言えます。華奢な車体構造からもわかるように、中小私鉄の小規模な運用を想定した車両でした。

台車には、日本鉄道自動車工業が多用した、薄手の圧延鋼板を鋲接で組み立てた板台枠台車が採用されています。この台車は、雨宮製作所が設計した電車用台車を模倣したものでした。

運用

1941年（昭和16年）に宇部電気鉄道は宇部鉄道と合併し、1943年（昭和18年）には戦時買収・国有化により国鉄籍となりました。当初は形式名がそのまま維持されましたが、1952年（昭和27年）の改番でED25 1という記号番号が付与されました。

1950年（昭和25年）頃、宇部線の架線電圧昇圧に伴い、同系機（富岩鉄道ロコ2→ED26 1）が在籍していた富山港線に転属しました。富山港線では、ED26 1とともに貨物列車牽引に用いられました。1951年（昭和26年）には、旧伊那電気鉄道デ203の廃車発生品であるJ.G.ブリル社製Brill 27MCB-2台車に交換されました。

この台車交換の際、主電動機もデ203の発生品であるウェスティングハウス・エレクトリック社製WH-558-J6に交換されました。このモーターは、平坦線での高速運転を目的とした高回転型モーターであり、日本では南海電7系電車での採用例が知られる程度でした。

富山港線も昇圧されたため、ED26 1とともに1961年（昭和36年）に国鉄から除籍されました。その後、同年中に上田丸子電鉄丸子線に入線し、貨物列車牽引の主力として活躍しました。1969年（昭和44年）4月の同線廃止後は、別所線に転属しました。

別所線では、1975年（昭和50年）頃まで本線定期貨物列車牽引に使用されましたが、同年以降は定期貨物運用がなくなりました。その後は、上田原の車庫で待機状態となり、構内入換や保線列車牽引に使用される程度でした。1986年（昭和61年）の別所線昇圧に伴い廃車となりました。

廃車後、丸子線ゆかりの長野県丸子町（現・上田市）に寄贈され、現在は上田市の工業百年公園で静態保存されています。この車両は、上田市の別所線存続運動プロジェクト「アイプロジェクト」のキャラクター「とんがりくん」のモデルにもなっています。

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