宇都宮陸軍飛行学校

宇都宮陸軍飛行学校について

宇都宮陸軍飛行学校は、1940年（昭和15年）10月に設立された日本陸軍の軍学校です。主に、飛行機操縦を専門とする少年飛行兵となる生徒、および少年飛行兵や、将校・下士官に対して、飛行機の基本操縦教育を実施することを目的としていました。学校の本部は栃木県芳賀郡清原村（現在の宇都宮市清原地区）に置かれ、他にも各地に分教所が設けられていました。1944年（昭和19年）10月に廃止されるまでの短い期間でしたが、多くのパイロットを育成しました。

沿革

宇都宮陸軍飛行学校は、東京陸軍航空学校を卒業した操縦分科の陸軍少年飛行兵となる生徒、および同生徒の課程を修了して少年飛行兵を命じられた者に対し、飛行機の基本操縦教育を行うことを主目的としていました。その設立は、1940年（昭和15年）9月13日公布、10月1日施行の宇都宮陸軍飛行学校令（勅令第577号）によって定められました。

生徒は年に2回入校し、修業年限は約1年とされていました。また、学校令では憲兵を除く兵科将校・下士官も臨時に学生として受け入れ、「必要に応じた教育」を行うことが可能でした。1943年（昭和18年）10月からは、特別操縦見習士官の教育も開始されました。

本校の所在地である栃木県清原村のほか、各地の陸軍飛行場に分教所が設置され教育が行われました。分教所は、その時々の状況に応じて様々な陸軍飛行場が指定されたため、設置場所は固定ではありませんでした。

以下は、宇都宮陸軍飛行学校の分教所として使用されたことが確認されている主な陸軍飛行場です。

仙台陸軍飛行場（宮城県仙台市霞ノ目）
名取陸軍飛行場（別名：増田陸軍飛行場、宮城県名取郡下増田村）
磐城陸軍飛行場（福島県双葉郡熊町村）
那須野陸軍飛行場（栃木県那須郡黒磯町）
金丸原陸軍飛行場（栃木県那須郡金田村）
前橋陸軍飛行場（群馬県群馬郡堤ヶ岡村）
下館陸軍飛行場（茨城県真壁郡黒子村）
古河陸軍飛行場（茨城県猿島郡岡郷村）

1944年（昭和19年）6月には、満州国にあった白城子陸軍飛行学校が宇都宮陸軍飛行場に移転し、宇都宮教導飛行師団として再編されました。しかし、同年10月には、軍令陸乙第47号により、宇都宮陸軍飛行学校およびその分教所で行われていた教育は、熊谷陸軍飛行学校に移管されることになりました。学校の根拠となっていた宇都宮陸軍飛行学校令は、1945年（昭和20年）4月18日に施行された「陸軍航空本部令外三勅令中改正等ノ件」（勅令第228号）によって廃止されました。

学校本部および本校の廃止後、その校舎と敷地は清原村に払い下げられ、同村立清原中学校が移転し、利活用されました。

年譜

1940年（昭和15年）10月1日：宇都宮陸軍飛行場に開設。
1943年（昭和18年）10月：特別操縦見習士官の教育を開始。
1944年（昭和19年）6月：満州から移転した白城子陸軍飛行学校が宇都宮教導飛行師団に改編。
1944年（昭和19年）10月：教育を熊谷陸軍飛行学校に移管。
1945年（昭和20年）4月18日：宇都宮陸軍飛行学校令廃止。

歴代校長

尾関一郎 少将：1940年10月1日 - 1943年3月1日
加藤敏雄 大佐：1943年3月1日 - 1944年10月21日

関連項目

大日本帝国陸軍
熊谷陸軍飛行学校
宇都宮陸軍航空廠線
前橋飛行場

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
防衛庁防衛研修所戦史室『本土防空作戦』朝雲新聞社〈戦史叢書〉、1968年。

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