安倍男笠

安部男笠（あべ の おがさ）

安部男笠は平安時代初期における日本の貴族で、彼の名は時に小笠とも記されます。彼は中納言・阿倍広庭の曾孫であり、無位の安倍道守の子、または斎宮頭・引田広目の子孫とされる系図を持っています。安部男笠の官位は従四位上、主殿頭でした。

経歴

安部男笠の生涯は、平安時代の政治や文化と密接に関連しています。彼は延暦17年（798年）に従五位下に叙爵され、翌年の延暦18年（799年）には右兵衛佐に任命されました。この段階で彼は上級官僚の仲間入りを果たしたことになります。

その後、延暦25年（806年）に平城天皇が即位したことを受けて、越後介として地方官に転任しました。大同5年（810年）には、薬子の変が発生する中で左馬頭に任命されるなど、嵯峨朝の様々な官職を歴任しました。この時期には三河守や駿河守、そして主殿頭を兼任しながら、彼は昇進を重ねることになります。

弘仁年間の初頭には従五位上に昇進し、弘仁4年（813年）には三階昇進を果たして従四位下に選ばれました。そして、弘仁13年（822年）には従四位上に至り、淳和朝の天長3年（826年）5月1日に74歳で逝去しました。彼の最終的な官位は散位従四位上でした。

人物

安部男笠の性格は質素であったと伝えられていますが、特に際立った才学があったとは言えません。彼は内外において様々な官職を歴任しましたが、特に悪名高い評判も聞こえてこないようです。ただし、彼の特技として鷹の調教が挙げられており、その腕前は非常に優れていると評判でした。桓武天皇の寵遇を受けた際には、頻繁に彼に侍っていたとされます。

官歴

安部男笠の官歴は以下の通りです。

• - 延暦17年（798年）日付不詳：従五位下
• - 延暦18年（799年）2月20日：右兵衛佐
• - 延暦25年（806年）5月1日：越後介
• - 大同5年（810年）9月10日：左馬頭
• - 時期不詳：従五位上
• - 弘仁3年（812年）正月12日：兼三河守
• - 時期不詳：駿河守
• - 弘仁4年（813年）正月7日：従四位下
• - 時期不詳：主殿頭
• - 弘仁13年（822年）10月1日：従四位上
• - 天長3年（826年）5月1日：卒去（散位従四位上）

系譜

安部男笠の出自については、父が安倍道守であることが確認されていますが、母については不詳です。子女に関しては、男子として安倍真直、女子としては藤原冬嗣の妻であるとされています。

脚注と参考文献

• - 森田悌『日本後紀』（中下巻）講談社学術文庫、2007年
• - 宝賀寿男『古代氏族系譜集成』古代氏族研究会、1986年

安部男笠の人生と業績は、平安時代の貴族の一端を知る手がかりとなります。彼の質素な性格と官職を通じた影響力は、当時の日本社会においてどのように評価されていたのかを考察することができます。

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