安島帯刀

安島帯刀（あじま たてわき）

概要

安島帯刀は幕末において水戸藩の家老として影響を与えた重要な人物です。安政の大獄により切腹を命じられた後、その遺志は靖国神社や護国神社、回天神社に合祀されました。彼の本名は信立（のぶたつ）で、父は戸田三右衛門忠之、母は安島七郎左衛門信可の女、そして養父には安島彦之允信順がいます。

事績

帯刀は幕末の日本における西欧列強の接近に備え、水戸藩内で海防に関する重要なプロジェクトに積極的に関与しました。特に、徳川斉昭や藤田東湖とともに、日本初の軍艦である旭日丸の建造に尽力し、海防の重要性を訴えていました。

彼はまた、潮流の変わり目において一橋派の一員として活動し、13代将軍・徳川家定の後継問題にも関与しました。この過程で、彼は幕府の守旧派から警戒されるようになり、尊皇攘夷を求める勅諚が水戸藩に下されるという前代未聞の事態を引き起こしました。この事件はのちに「戊午の密勅」として知られることとなりました。

帯刀はこの密勅に対し重要な役割を果たしたとされ、その後、井伊直弼暗殺に関与したとして幕府によって捕らえられることになりました。その後の安政の大獄により、帯刀は切腹を命じられますが、その死は幕末の歴史に重要な影響を与えました。

生涯

帯刀は譜代大名・戸田氏の一支流に生まれ、水戸藩士の家系に育ちました。彼は、母方の叔父である安島彦之允信順の養子として家督を継ぎ、初名は弥次郎、その後忠誨を名乗り、最後には信立と改名しました。

文政12年（1829年）、水戸藩主の継嗣問題に取り組み、兄とともに徳川斉昭を擁立するため奔走しました。天保7年（1836年）には家督を継ぎ、守護政を進め、さまざまな藩政改革に取り組みました。安政3年（1856年）には御側用人に登用され、海防などに携わりました。

彼は、幕府の命により海防参与となり、藩士の教育や学校行政にも力を注ぎました。しかし、兄弟や藤田東湖の死後、藩の家老に任命。安政5年（1858年）の将軍継嗣問題では、恭喜を将軍に推す一橋派の活動を行っていました。

その後、戊午の密勅に関与したとして幕府に捕らえられ、無罪判決を受けるも、最終的には井伊直弼によって切腹を命じられました。安政6年（1859年）のことでした。

遺族と家系

帯刀は、妻・久米新七郎長重との間に数人の子女をもうけました。長女・立子、次女・道子、嫡男・七郎太郎信義などがいます。彼の長女は一橋徳川家中老として仕官し、家族はその後も続きました。帯刀の遺志は、のちに彼の家族により引き継がれ、名誉の回復がなされました。

歴史的影響

安島帯刀の死は、幕末の志士たちに衝撃を与え、その後の明治維新へとつながる運動に大きな影響を及ぼしました。彼は自己の信念を貫いた有名な志士として記憶されています。明治12年（1879年）には靖国神社に奉祀され、1891年には正四位が贈位されるなど、その名誉は復活しました。

辞世

彼の辞世として残る詩には、「今更に何をか言はん 言はずとも 我が真心は しる人ぞしる」という言葉があり、彼の信念や思いが凝縮されています。

まとめ

安島帯刀は、幕末の動乱の中で重要な職務に従事しただけでなく、その後の日本の歴史に多大な影響をもたらした人物です。彼の生涯は、忠誠心と志を持ち続けた者の象徴と言えるでしょう。

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