安藤正珍

安藤正珍（あんどうまさよし）は、江戸時代前期に活躍した旗本であり、阿久和安藤家の三代目当主として知られています。通称を次右衛門と称しました。

生涯

安藤正珍は、安藤正次の子として生まれました。父・正次は元和元年（1615年）の大坂夏の陣で深手を負い、自刃しました。これにより、正珍は家督を継ぐことになります。同年、彼は領地である阿久和に観音寺を創建しました。この寺は、現在も横浜市瀬谷区阿久和に存在し、地域の歴史を語る上で重要な場所となっています。

正珍は、幕府において小姓組から徒頭へと昇進し、その後、槍奉行および諸国巡視役を歴任しました。寛永10年（1633年）には、宇治採茶使として、神尾守勝、近藤用行、朽木友綱と共に派遣されています。この年の知行は2540石に及んだと記録されています。これらの役職から、彼は幕府において一定の信頼を得ていたことが伺えます。

また、正珍は、鍵屋の辻の決闘で荒木又右衛門に殺害された河合又五郎を、江戸屋敷で匿ったとされています。この事件は当時大きな注目を集め、幕府の裁定は喧嘩両成敗という結論に至りました。その結果、正珍は久世広当、阿倍正之と共に寛永寺へ百日間の寺入りを命じられました。この出来事から、彼の性格や行動の一端を垣間見ることができます。

正珍の墓所は、現在の横浜市瀬谷区阿久和にある通称「お墓山」に位置しています。この墓所は、彼が地域に深く根ざしていた証でもあります。

系譜

安藤正珍の系譜は以下の通りです。

父：安藤正次（1565-1615）
母：不詳
室：椋原政長（近江彦根藩家臣）の娘
男子：安藤正程
男子：安藤次種
生母不明の子女
女子：大田吉次室
男子：岩之助
女子：鳥居忠春室
女子：本郷長泰室
男子：安藤珍辰
女子：長崎元義室
女子：滝川征盛室
女子：堀忠重室
女子：榊原職房室
男子：安藤次行

このように、正珍は多くの子供をもうけ、その子孫は様々な家と姻戚関係を結びました。これは、当時の武士社会における重要な側面であり、彼の社会的地位の高さを示すものと言えるでしょう。

参考文献

安藤正珍に関する情報は、以下の文献に詳細が記載されています。

わがまち瀬谷第30号（平成22年7月）
徳川実紀
* 寛政重修諸家譜 巻第千百十八

これらの文献は、彼の生涯や事績を理解する上で非常に重要な資料となっています。

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