安藤真

安藤真（あんどう まこと、1952年 - ）は、日本の著名な通信工学者です。東京工業大学で長年にわたり教鞭を執り、副学長を務めたほか、国際的な学術組織であるIEEE Antennas & Propagation Societyや国際電波科学連合（URSI）の会長を歴任するなど、国内外の学術界で重要な役割を果たしてきました。

人物・経歴

北海道で生まれ、父親は船の設計技師でした。北海道札幌南高等学校を卒業後、東京工業大学に進学し、大学時代はサッカー部に所属。全国漁業協同組合連合会の仕事で六本木に住んでいた祖父母宅に下宿していました。1974年に東京工業大学工学部電子物理工学科を卒業し、関口利男研究室で学びました。その後、1976年に同大学大学院理工学研究科修士課程を修了、1979年には博士課程を修了しています。

大学院修了後は、日本電信電話公社（現在のNTT）横須賀電気通信研究所に入所し、電波研究室に配属されました。1982年には東京工業大学に戻り、工学部電子物理工学科の助手として後藤尚久研究室に所属。その後、1985年に同大学の助教授、1995年には教授へと昇進し、2000年からは大学院理工学研究科電気電子工学専攻の教授を務めました。

安藤氏は、電子情報通信学会においても重要な役割を担い、2005年にはアンテナ・伝播研究専門委員会の委員長、2007年にはエレクトロニクスソサイエティ会長を務めました。2009年には、IEEE Antennas & Propagation Societyの会長に就任し、国際的な活動を展開しました。

2010年には日本学術会議の連携会員、2011年には国際電波科学連合の副会長となり、2015年には東京工業大学の理事・副学長（研究担当）に就任。同年には、International Symposium on Antennas and Propagation（ISAP）国際運営委員会議長も務めました。2017年には東京工業大学の名誉教授となり、国際電波科学連合の会長に就任しました。2018年には電子情報通信学会の会長を務め、独立行政法人国立高等専門学校機構の理事にも就任しています。また、日本学術振興会学術研究センターのプログラムオフィサー、独立行政法人国立高等専門学校機構の機構顧問、テラヘルツシステム応用推進協議会の会長も歴任しました。安藤氏の研究室からは、遠藤信博氏をはじめとする数多くの優秀な研究者が輩出されています。

受賞歴

安藤氏の研究業績は高く評価されており、数々の賞を受賞しています。1982年の電子情報通信学会会学術奨励賞を皮切りに、1990年には電気通信普及財団賞、1992年には井上学術賞を受賞。1993年には電子情報通信学会論文賞と業績賞を同時受賞しています。1996年には電子情報通信学会通信ソサイエティ活動功労感謝状を受賞しました。

2003年にはIEEEフェローに選出され、国際的な評価を確立。2004年には電波産業会電波功績賞総務大臣表彰、2006年には情報化促進貢献総務大臣表彰と電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ論文賞を受賞しました。2007年には電子情報通信学会通信ソサイエティ論文賞と功労顕彰状を受賞。2009年には電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティレター論文賞を受賞しました。

2011年にはIEEEのIMWS2011 Best Paper AwardとAPMC2011 Best Paper Award、2012年と2013年にはAPMC Best Paper Awardを連続受賞。2014年には電子情報通信学会功績賞、2016年には電子情報通信学会論文賞を受賞。2017年にはNHK放送文化賞、2018年には電子情報通信学会喜安善市賞、2020年には電波の日総務大臣表彰を受賞するなど、その業績は多岐にわたります。

安藤真氏は、アンテナ工学、電波伝搬、通信技術分野における日本の第一人者として、学術界だけでなく産業界にも多大な貢献をしています。研究者としての卓越した業績に加え、教育者、組織運営者としても手腕を発揮し、後進の育成にも尽力しました。その幅広い活躍は、日本の電気通信工学の発展に欠かせない存在です。

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