宗兄弟

宗兄弟：陸上界を彩った双子の絆

宗兄弟は、日本の陸上競技、特に長距離走（マラソンを含む）で活躍した一卵性双生児の兄弟です。兄の宗茂（そう しげる）と弟の宗猛（そう たけし）は、現役引退後も指導者として、陸上界に貢献しました。

黎明期

兄弟は中学時代から陸上競技を始め、その才能を早くから開花させました。中学2年時には、大分県内一周駅伝に兄弟揃って出場するなど、地元では早くから注目を集めていました。しかし、中学2年の時に指導者が不在となり、以降は自主的にトレーニングを重ねたといいます。その後、両親の勧めで大分県立佐伯豊南高等学校に進学し、寮生活を送りながら練習に励みました。高校時代には、全国高校駅伝にも出場を果たし、着実に実力をつけていきました。

旭化成入部とマラソンへの挑戦

1971年、高校卒業と同時に、兄弟は旭化成陸上部に入部します。1973年3月には、延岡西日本マラソンで初マラソンに挑戦し、茂が優勝、猛が2位と、兄弟揃って好成績を収めました。このレースをきっかけに、兄弟はマラソンランナーとしての道を歩み始めます。

オリンピックへの道

1976年モントリオールオリンピックでは、茂がマラソン競技の日本代表に選出されました。一方、猛は選考レースで不調だったため、代表入りを逃しました。1980年モスクワオリンピックの代表選考レースとなった1979年12月の福岡国際マラソンでは、瀬古利彦選手との激しいデッドヒートの末、茂が2位、猛が3位となり、兄弟揃って代表の座を掴みました。しかし、日本がモスクワオリンピックをボイコットしたため、兄弟のオリンピック出場は幻となりました。

1984年ロサンゼルスオリンピックの選考レースとなった1983年12月の福岡国際マラソンでは、茂が3位、猛が4位となり、再び兄弟揃って代表入りを果たします。ロサンゼルスオリンピック本番では、二人とも完走し、猛は4位入賞という素晴らしい成績を収めました。

国際マラソンでの快挙

1985年10月の北京国際マラソンでは、兄弟が同タイムでゴールし、茂が優勝、猛が2位となりました。国際マラソンで兄弟が1、2位を独占するという、前代未聞の快挙を成し遂げました。このレースを含め、兄弟揃って出走したフルマラソンは22回を数え、そのうち茂が12回、猛が10回先着しています。兄弟で1、2位を独占したレースは、計4回（他は別府大分毎日マラソン）あり、すべて茂が勝利を収めています。

記念碑と著作

母校である大分県立佐伯豊南高等学校の正門横庭園には、宗兄弟の記念碑「栄光の軌跡」が建立されています。この記念碑は、学校統合後に一時移設されましたが、2024年8月に元の場所に戻されました。

また、宗兄弟は以下の共著書を出版しています。

『振り向いたら負けや　茂と猛のマラソントーク 』(講談社、1986年)
『宗茂・宗猛のマラソン練習 (GAKKEN SPORTS MOOK)』(学習研究社、1994年)
『宗茂・宗猛のマラソン練習 ’96 (GAKKEN SPORTS MOOK)』(学習研究社、1995年)

宗兄弟の功績

宗兄弟は、その卓越した競技力と兄弟の絆で、日本の陸上界に大きな足跡を残しました。数々の伝説的なレースは、多くの人々に感動と勇気を与えました。引退後も、指導者として後進の育成に尽力し、日本の陸上競技の発展に貢献しています。

外部リンク

宗兄弟 - NHK人物録

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