宗祇水

宗祇水：郡上八幡の清冽な湧水と歴史の息吹

岐阜県郡上市八幡町に位置する宗祇水（そうぎすい）は、白雲水とも呼ばれる名水百選第1号に選定された名湧水です。小駄良川と吉田川の合流地点付近に湧き出ており、その清らかな水は、古くから地元の人々の生活に深く関わってきました。

豊かな自然と歴史が育む名水

郡上八幡地域は、年間2800mmもの豊富な降雨量に恵まれた水源林に囲まれています。この恵まれた環境は、縄文鍾乳洞などが見られるカルスト地形の石灰岩層に雨水が浸透し、八幡市街地へと湧出する数多くの湧水の源となっています。宗祇水もその一つであり、長い年月をかけて濾過された、清冽でミネラル豊富な水が湧き出ています。この恵まれた水環境は、人と自然が調和した「水の郷百選」に郡上八幡町が選定された理由の一つでもあります。宗祇水は、その象徴として名水スポットとして親しまれています。

歴史と文化が織りなす物語

宗祇水の歴史は古く、室町時代からその存在が知られていました。1471年（文明3年）、篠脇城主・東常縁が連歌師の宗祇に古今伝授を終えた際、宗祇の帰京を惜しみ、この泉水にちなんだ歌が詠まれたという伝説が残っています。その後、江戸時代には郡上藩主・金森頼錦や遠藤常友らによって泉の保存と古今伝授の顕彰が図られ、石造りの水場が整備されました。

この水場は、湧出口から飲料水、米や野菜を洗う場、さらし場まで、用途別に仕切られた機能的な造りになっており、現在も地元の人々によって大切に利用されています。大正6年（1917年）には有志によって宗祇水奉賛会が結成され、歴史的な史跡としての保存活動が続けられています。この活動は、宗祇水の文化的価値と地元住民の深い繋がりを示すものです。

アクセスと周辺情報

宗祇水を訪れるには、長良川鉄道越美南線郡上八幡駅下車後、徒歩約30分、または東海北陸自動車道郡上八幡ICから郡上八幡市街地方面へ向かうルートが便利です。周辺には、郡上八幡城跡や白川など、歴史的建造物や自然景観を楽しむことができる観光スポットも多く存在しており、宗祇水と合わせて巡ることで、郡上八幡の豊かな魅力を堪能することができます。

宗祇水は、単なる湧水ではなく、自然と歴史、そして人々の生活が一体となった、郡上八幡の象徴的な存在と言えるでしょう。その清冽な水と豊かな歴史に思いを馳せながら、静寂に包まれたこの地を訪れてみてはいかがでしょうか。

もう一度検索