実業同志会

実業同志会についての詳細

実業同志会は、1923年に日本の実業界から生まれた政党であり、大正末期から昭和初期の政治情勢に影響を及ぼしました。この政党の設立にあたっては、鐘淵紡績の社長であった武藤山治が中心となり、政界の浄化や業界振興、さらには悪税の撤廃といったスローガンを掲げました。これらの提案は、特に第一次世界大戦後に発生した戦後恐慌の影響を受けた日本の経済復興を目的としていました。

実業同志会は、1924年に行われた第15回衆議院議員総選挙において34名の候補を擁立し、その内8名が当選を果たしました。この選挙では、営業税の撤廃や電話・鉄道の民営化といった経済的自由主義を重視した公約が中心でした。

1926年には、実業同志会は政友本党と連携し、1928年には立憲政友会との協定を結びました。この協定には地租や営業収益税の廃止が含まれ、田中義一内閣に対して支持を表明しました。田中内閣はこの条件を受けて、税制改革に取り組み、地租や営業収益税を地方税とする法案を衆議院に提出しましたが、最終的には貴族院で審議が未了となり、廃案となってしまいました。

その後、1929年4月17日の党大会にて、実業同志会は党名を国民同志会に改名しました。この新たな名称には、貴族院改革や金解禁の実行を政策に盛り込むという意志が反映されていました。しかし、このころには党の勢力が頭打ちとなり、1932年に衆議院が解散されると、武藤山治は自身の不出馬を公表し、国民同志会は事実上解散に至りました。

このように、実業同志会は短期間で変遷しながら、日本の政界における一時的な影響力を持つ政党として存在していました。複雑な当時の政治状況や経済的背景を反映した活動が、今後の日本政治の方向性に寄与した一面もあるのです。実業同志会の存在は、当時の日本社会において、ビジネスと政治の接点を浮き彫りにする重要な事例といえるでしょう。

参考文献として、青野権右衛門編の『日本政党変遷史』（安久社、1935年）が挙げられています。

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