宮之浦町

宮之浦町について

宮之浦町は、鹿児島県鹿児島市の北部に位置する町で、旧吉田町の一部です。2020年4月1日現在、人口1,635人、世帯数841世帯の小さな町ですが、その歴史は古く、豊かな自然と数々の史跡が残る魅力的な地域です。

地理

宮之浦町は、鹿児島市北部の吉田地域南部に位置し、稲荷川の上流域に広がる台地上にあります。町の北側は鹿児島市本城町や姶良市平松と、南側は鹿児島市川上町や吉野町に、東側は鹿児島市吉野町や姶良市脇元に、そして西側は鹿児島市岡之原町や本名町と隣接しています。

町の中央部には、牟礼岡団地（牟礼岡一丁目から牟礼岡三丁目）があり、西側には九州自動車道が通っています。南西部には薩摩吉田インターチェンジがあり、交通の便も良い地域です。

山岳と河川

町内には、牟礼ヶ岡や赤崩といった山々があり、稲荷川が流れています。これらの自然環境は、古くから人々の生活を支え、豊かな歴史を育んできました。

歴史

先史時代

宮之浦町では、先史時代の遺跡が多数発見されています。牧遺跡、宮後遺跡、前畑遺跡、北平野遺跡、中原遺跡、山ノ上遺跡、崎山遺跡、落ノ上遺跡などが確認されており、古代から人々が生活を営んでいたことがわかります。

特に、牧遺跡は9世紀頃の土坑で、蔵骨器や土師器が発見されており、当時の埋葬方法を知る上で貴重な資料となっています。宮後遺跡は、九州自動車道の建設時に発見され、縄文時代後期の土器や硬玉製丸玉、平安時代以降の埦が出土しています。これらの遺跡は、宮之浦町の歴史の深さを物語っています。

中世

鎌倉時代から戦国時代にかけて、この地域は「宮浦名」と呼ばれ、大隅国吉田院の一部でした。建治2年（1276年）の記録には、吉田氏の庶流である清持がこの地を領有していたと記されています。戦国時代には島津氏の領地となり、永正14年（1517年）には、宮之浦と本名の一部が萩野又左衛門に宛がわれました。天正15年（1587年）には、吉田院の全域が薩摩国に編入されました。

近世

江戸時代には、宮之浦村は薩摩国鹿児島郡吉田郷に属していました。「天保郷帳」や「郡村高辻帳」などの記録によれば、村高は1,075石余りであったとされています。寛政6年（1794年）の人口は349人でした。薩摩街道の日向筋が通り、薩摩国と大隅国の境界である白銀坂がありました。また、この地では禁制とされていた浄土真宗の信仰（隠れ念仏）が行われていたとされ、洞窟で集会が開かれていたそうです。

近現代

1889年（明治22年）に町村制が施行され、宮之浦村は吉田村の一部となり、大字宮之浦となりました。1972年（昭和47年）に吉田村は町制を施行し吉田町となりました。1973年（昭和48年）には九州自動車道の薩摩吉田インターチェンジが開通し、地域発展の契機となりました。1991年（平成3年）には牟礼ヶ岡団地が造成され、牟礼岡一丁目から三丁目が新設されました。2004年（平成16年）に吉田町は鹿児島市に編入され、宮之浦町は鹿児島市の一部となりました。

文化財

宮之浦町には、国指定史跡である大口筋 白銀坂 龍門司坂や、市指定有形民俗文化財の宮之浦の三重石塔があります。これらの文化財は、地域の歴史と文化を今に伝える貴重な遺産です。

施設

町内には、鹿児島県立青少年研修センターや鹿児島県総合教育センターといった公共施設があります。また、鹿児島市立宮小学校や鹿児島市宮之浦保育所などの教育施設、八幡神社、常行寺、瑠璃光院、宮之浦念仏庵といった寺院もあります。その他、新日本科学本店、牟礼ヶ岡ウインドファーム、島津ゴルフクラブなどの施設もあります。

交通

宮之浦町には、九州自動車道の薩摩吉田インターチェンジがあり、鹿児島県道16号鹿児島吉田線や鹿児島県道25号鹿児島蒲生線などの主要道路が通っています。これらの交通網は、地域の人々の生活や経済を支える重要な役割を果たしています。

宮之浦町は、古代から現代に至るまでの歴史が深く刻まれた地域です。この町を訪れることで、歴史と文化、そして豊かな自然を感じることができるでしょう。

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