宮城野馬五郎 (1826年生)

宮城野馬五郎（みやぎの うまごろう）は、文政9年（1826年）に伊勢国三重郡（現在の三重県四日市市）に生まれた、宮城野部屋所属の力士です。明治22年（1889年）8月17日に亡くなっています。本名は宮城野馬五郎といい、旧姓は近藤でした。第四代宮城野を襲名し、最高位は東小結。力士としては身長・体重ともに記録は残されていません。

天保15年（1844年）1月、宮城野部屋に入門し相撲の道を歩み始めました。若い頃には、一時は八戸藩から抱え力士となるほど、その実力と将来を期待されていました。しかし、番付の昇進は順調とは言えず、幕内に昇進できたのは安政5年（1858年）11月場所、数え年で33歳という年齢になってからでした。

幕内での土俵では、師匠である二代目宮城野の現役時代の四股名でもあった「荒馬大五郎」を名乗りました。この頃の成績を見ると、勝敗を決するよりも引き分けや預かりに終わる一番が多く、番付も大きく上昇することなく、幕内中堅あたりに留まることが多かったようです。

慶応2年（1866年）には、力士として土俵に上がりながら、親方としても部屋を運営する二枚鑑札となりました。これにより、現役力士でありつつ、後進の指導にもあたることになります。そして、明治元年（1868年）7月場所において、数え年43歳という高齢で自己最高位となる東小結への昇進を果たしました。これは、長く苦労した末の栄達と言えるでしょう。明治2年（1869年）4月場所を最後に力士としての現役生活を終え、以降は親方として部屋経営と弟子の育成に専念しました。

成績記録

生涯で番付に名前が載った場所は合計49場所を数えます。当時の相撲界では、現在の十両にあたる地位が存在せず、幕内のすぐ下の階級が幕下とされ、番付表の上から二段目であることから「二段目」とも呼ばれていました。

通算成績（二段目10枚目以上）: 56勝71敗74休36分1預1無勝負 (49場所)
幕内在位: 22場所
幕内成績: 42勝56敗75休31分1預1無勝負

四股名の変遷

現役生活中に、いくつかの四股名を改名しています。

鬼石 大五郎: 1844年1月場所 - 1846年3月場所
時津風 浪吉: 1846年11月場所 - 1849年3月場所
大蛇潟 浪五郎: 1849年11月場所 - 1856年11月場所
荒馬 大五郎: 1857年1月場所 - 1866年3月場所
宮城野 馬五郎: 1866年11月場所 - 1869年4月場所

関連する事項やエピソード

三段目時代に名乗った「大蛇潟浪五郎」という四股名は、後に彼の弟子である第七代錦島（現役名は「大蛇潟 大五郎」）も使用しています。これは、錦島が当初、宮城野部屋に所属し、馬五郎の指導を受けていた縁によるものです。
二枚鑑札となる前に名乗っていた「荒馬大五郎」は、かつて師匠である二代目宮城野が使用した四股名でした。親方となった後、娘が境川部屋の力士である四海波静太夫と結婚した際に、この「荒馬大五郎」の四股名を四海波に譲るという出来事がありました。しかし、後に二人が離縁したため、四海波はこの四股名を返上しています。
相撲史における特筆すべき記録として、元治2年（1865年）2月場所3日目に行われた千年川龍藏との一番が挙げられます。この取組は、現代の大相撲へと繋がる江戸勧進相撲において、史上最後の「無勝負」となった取組として記録に残されています。
四代目宮城野馬五郎は、二枚鑑札となり親方名として「宮城野馬五郎」を名乗りましたが、この名跡は彼以前に師匠である二代目宮城野も現役時代の二枚鑑札として使用していました。また、彼が育てた弟子である第五代宮城野を襲名した大関・鳳凰馬五郎も、二枚鑑札となった際に「宮城野馬五郎」に改名しています。しかし、歴代の宮城野馬五郎の中でも、戸籍上の名前（諱）が「馬五郎」であったのは、この四代目宮城野馬五郎のみであるという特徴があります。

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