宮城長五郎

宮城長五郎

宮城長五郎（みやぎ ちょうごろう、1878年9月5日 - 1942年6月25日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本を代表する裁判官、検察官、政治家です。彼は司法大臣や貴族院議員などを歴任し、特に旧少年法および矯正院法の成立に尽力したことで知られています。

経歴

埼玉県に生まれ、農業を営む宮城藤次郎の次男として育ちました。彼は郁文館中学、そして第一高等学校を経て、1906年に東京帝国大学法科大学の法律学科を卒業しました。その後、司法官試補となり千葉地方裁判所で勤務を開始しました。1908年には判事に任官し、東京地方裁判所に着任。八王子区裁判所予審判事や東京地裁判事などの役職を経て、1913年には東京区裁判所の検事に異動し、さらに司法省の参事官へと昇進しました。

1918年から翌年にかけては、欧米各国に出張し、国際的な司法制度や保護法に関する知見を深めました。1921年、司法省大臣官房保護課長に就任し、ここで旧少年法および矯正院法の成立に寄与しました。特に少年法に関しては、未然に犯罪を防ぐという観点から社会的な保護が必要であるとの思想を持って活動を行いました。

1925年には治安維持法の成立に関わり、その基本的な考え方は犯罪が実際に起こる前に取り締まるというものでした。しかし、1928年の三・一五事件や治安維持法の改正に際して「刑罰主義に負けた」と批判するなど、自己の信念を貫きました。

検察官としての活動

1926年には大審院検事に異動し、その後、東京地裁検事正や長崎控訴院検事長などを歴任しました。五・一五事件や血盟団事件、神兵隊事件、帝人事件など、大規模な事件を扱い、起訴猶予者・執行猶予者を救済するための「帝国更新会」という組織を設立しました。

政治家としての活動

1939年、阿部内閣の司法大臣に任命されましたが、1940年には内閣が総辞職。その直前の1月14日には貴族院の勅選議員に選ばれ、無所属倶楽部に属して活動しました。彼は生涯を通じて司法制度の革新に尽力し、1942年に65歳で逝去しました。

栄典と著作

彼の業績は評価され、1934年に正四位を受与しています。また、いくつかの著作を残しており、『少年保護の法理と実際』や『法律善と法律悪』などがあります。これらの著書は、彼の法的思想や法律に対する理解を深めるための貴重な資料となっています。

親族

宮城長五郎の妻、宮城タマヨは参議院議員として活動し、また弟の宮城音五郎は東北帝国大学の教授と宮城県知事を務めました。彼の家族もまた、政治や教育などの分野で貢献しました。

参考文献

彼に関する資料として、様々な文献が存在し、『貴族院要覧』や『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』などが代表的なものです。宮城長五郎の業績は、今なお日本の司法や政治において重要な位置を占めています。

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