宮島啓夫

宮島啓夫：俳優、そして茶道家としての生涯

宮島啓夫（みやじま ふみお、1894年6月4日 - 没年不詳）は、日本の俳優、茶道家です。俳優としては宮嶋 啓夫とも表記され、本名・旧芸名は宮島 文雄。茶道家としては宮島 宗苑（みやじま そうえん）を名乗りました。

生い立ちと演劇との出会い

1894年（明治27年）6月4日、東京府東京市四谷区四谷北伊賀町（現在の東京都新宿区四谷三栄町）に生まれました。作家の宮嶋資夫を兄に、大下藤次郎と結婚する春子を姉に持つ家庭環境でした。1912年（明治45年）3月に旧制聖学院中学校（現在の聖学院中学校・高等学校）を卒業後、坪内逍遥の文藝協会に参加し、演劇の世界に足を踏み入れます。

1913年（大正2年）2月には、有楽座での文藝協会第5回公演『思ひ出』に本名の「宮島 文雄」として出演し、同年5月には帝国劇場の幹部となりました。同年6月には、文藝協会第6回公演『ヂユーリアス・シイザア』で「メテラス・シンバア」役を演じます。文藝協会解散後、島村抱月、松井須磨子らが設立した芸術座（第一次芸術座）に参加し、数々の舞台に出演しました。

映画界への進出

1916年（大正5年）3月、帝国劇場での芸術座第7回公演『お葉』で「作男仁吉」役を「宮島 啓夫」の名で演じました。1918年（大正7年）8月に芸術座を脱退し、帝国劇場の専属俳優となります。1922年（大正11年）には日活向島撮影所に入社し、同年6月11日公開のサイレント映画『闇のかほり』で映画界デビューを果たしました。その後、田中栄三監督の『京屋襟店』や溝口健二監督のデビュー作『愛に甦る日』などに出演しますが、1923年（大正12年）の関東大震災で同撮影所が崩壊してしまいます。

1924年（大正13年）9月には、山田隆彌、岡田嘉子らと「同志座」を結成し、舞台活動を再開します。この頃、後の女優・若葉信子（俳人・稲垣きくの）となる露原桔梗が入団し、初舞台を踏んでいます。1925年（大正14年）には、同志座が東亜キネマ甲陽撮影所と提携し、宮島も映画に出演しました。同年秋には、露原桔梗と結婚しますが、1926年（昭和元年）末に夫婦で同撮影所を退社し、東京に戻ります。

再び舞台へ、そして茶道の世界へ

1927年（昭和2年）、妻・露原桔梗が松竹蒲田撮影所に入社し「若葉信子」として活躍する一方、宮島は二代目水谷八重子が再興した芸術座（第二次芸術座）に参加します。1928年（昭和3年）頃、若葉信子と離婚。その後は、芸術座での舞台活動の傍ら、日本ビクターの演劇レコードに参加するなど、幅広く活動しました。1935年（昭和10年）以降は映画界を離れ、舞台に専念しましたが、1940年（昭和15年）に芸能界を引退しました。

引退後の消息は不明でしたが、実は茶道家に転身し、「宮島 宗苑」として今日庵裏千家直門の宗匠として活動していたことが判明しています。戦争末期には軽井沢に疎開していましたが、終戦後も各地で茶会を開くなど活動を続けました。晩年の消息は不明であり、没年も不詳です。

フィルモグラフィ

宮島啓夫が出演した主な映画作品は以下の通りです。

日活向島撮影所
『闇のかほり』 (1922) - 主演
『京屋襟店』 (1922)
『愛に甦る日』 (1923)
東亜キネマ甲陽撮影所
『光り闇を行く』 (1925)
『お艶殺し』 (1925)
『狂恋の嵐』 (1927)
フリーランス
『大尉の娘』 (1929)
『唐人お吉』 (1935)
『大尉の娘』 (1936)

まとめ

宮島啓夫は、俳優として舞台や映画で活躍し、晩年は茶道家として名を成した人物です。その多岐にわたる才能と、時代を駆け抜けた波瀾万丈な生涯は、今もなお人々の心を惹きつけています。

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