宮崎勇 (軍人)

宮崎勇（みやざき いさむ）

宮崎勇は、1919年（大正8年）10月5日に広島県呉市で生まれ、2012年（平成24年）4月10日に92歳で亡くなった、日本の海軍軍人です。最終階級は海軍少尉。太平洋戦争中に数多くの敵機を撃墜し、「撃墜王」として知られています。

生い立ちと海軍入隊

幼少期に香川県へ移り住んだ宮崎は、中学時代に見たアクロバット飛行ショーに心を奪われ、空への憧れを抱くようになります。海軍士官の同級生の影響もあり、香川県立丸亀中学を中退後、1936年（昭和11年）に佐世保海兵団に入団しました。水兵として様々な艦に乗り組み、遠洋航海も経験。この頃の経験が、後の彼の人生に大きな影響を与えたと語っています。

飛行予科練習生から戦闘機搭乗員へ

上官の勧めで飛行予科練習生を受験し、1940年（昭和15年）に合格。土浦海軍航空隊で操縦訓練を受け、1941年（昭和16年）には横須賀航空隊に配属されます。そこで、南昌攻撃で片翼帰還を果たした樫村寛一飛曹の列機となり、約1年間にわたり厳しい訓練を受けました。この時の経験が、宮崎の戦闘機乗りとしての基礎を築いたと言えるでしょう。

太平洋戦争での活躍

1942年（昭和17年）に二五二空へ転属。ラバウルを拠点にソロモン・東部ニューギニア方面で激戦を繰り広げました。ガダルカナル沖での初撃墜を皮切りに、数々の空戦でその腕を振るいました。しかし、1943年（昭和18年）にはウェーク島へ配属、その後はマキン・タラワでの戦い、マロエラップでの壊滅的な状況を経験しました。

1944年（昭和19年）には、あ号作戦に参加し硫黄島へ進出。その後、沖縄、フィリピンへと転戦。特別攻撃隊への参加を命じられるも、内地へ帰還を命じられ、特攻隊員となることはありませんでした。その後、第三四三海軍航空隊（剣部隊）に配属され、終戦まで本土防空戦に臨みました。

戦後

終戦後、宮崎は松山市に移り住み、郵便自動車の運転手や会社経営を経て、酒屋を継ぎました。戦時中の経験を語ることはありませんでしたが、1978年（昭和53年）に愛媛県城辺町沖で紫電改が発見されたことをきっかけに、自らの戦争体験を語り始めました。著書『還って来た紫電改』は、当時の状況を後世に伝える貴重な記録となっています。また、宮崎は、長崎原爆を目撃し、救助活動に参加したことも、後に白血球が弱くなった原因ではないかと語っています。

宮崎勇は、その卓越した操縦技術と、数々の激戦を生き抜いた経験から、多くの人々に勇気と希望を与えました。彼の残した言葉は、戦争の悲惨さを伝えるとともに、平和への願いを未来へと繋いでいます。

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