宮川内谷川

宮川内谷川について

宮川内谷川（みやがわうちだにかわ）は、徳島県阿波市と板野郡に位置する主要な河川の一つであり、吉野川水系に所属しています。この川は、阿讃山脈の一部である土成町宮川内柄鎌にその源を発し、阿波市や上板町、板野町を東へ貫流しながら、最終的に旧吉野川に合流します。流路の延長は約18.981キロメートル、流域面積は73.6平方キロメートルです。

宮川内谷川の上流地域は渓谷に成り、特に「奥宮川内谷」として知られる美しい景観が広がっています。ここには、宮川内ダムや御所神社、御所温泉といった観光地が点在しており、1967年にはこの上流一帯が奥宮川内谷県立自然公園に指定されました。また、国道318号が川沿いを通っており、アクセスも良好です。

1986年には、県境に鵜の田尾峠にトンネルが完成し、徳島市と高松市を結ぶ最短ルートが整いました。沿道には、名物の「御所のたらいうどん」を提供する店舗が並んでおり、多くの観光客が訪れます。

さらに、宮川内谷川が扇状地を形成する地点は、東西、南北にそれぞれ約4キロメートル、広さ約14平方キロメートルという広大な面積を持ち、徳島県内では最大の扇状地帯です。かつてこの地域は主に畑作が行われていましたが、1956年に阿波用水の通水が開始され、さらに1964年には宮川内ダムが完成したことにより、主に水田地帯として利用されるようになりました。

下流の平野部では稲作に加え、ダイコンやシロウリ、キュウリ、レンコンなどの栽培が行われ、地元の農業に寄与しています。また、宮川内谷川によって形成された河岸段丘周辺では、旧石器時代最大級の椎ヶ丸〜芝生遺跡が発見されており、歴史的な意義も持っています。

洪水や改修工事

しかし、宮川内谷川は自然の地形ゆえに洪水のリスクが高い河川です。特に扇状地では川幅が200メートルから下流部ではわずか20メートルまで狭くなる上、急な曲流れや天井川の状態になることが多く、これが大雨の際に洪水を引き起こす原因となっています。1899年から1961年までの間に、十数回の洪水が確認されています。

1941年から1944年には第一次改修工事が実施されましたが、その後も1950年のジェーン台風や1953年の台風13号による被害が続き、1961年の第2室戸台風では堤防が140メートルにわたり決壊しました。そのため、1955年から始まった中小河川改修事業では、中下流部の11キロメートルの流路が拡大・直線化され、1978年に工事が完成しました。

また、扇状地形の特性により、山地を離れると地下水となり、下流部の水田では干ばつも頻繁に発生していました。この問題を解決するため、1964年には多目的ダムである宮川内ダムが建設されました。ダムは1995年度から2003年度にかけて改良工事が実施され、地域全体の水利用状況を向上させています。

支流と地域

宮川内谷川の支流には、唐ノ口谷川、大山谷川、泉谷川、鳶ケ谷川、庚申谷川、安楽寺谷川、高尾谷川、佐古谷川、大畑谷川、八丁谷川などがあります。流域に位置する自治体は、主に阿波市と板野郡の上板町、板野町です。

引き続き、宮川内谷川は地域の自然環境や歴史的背景に貢献し続けており、かけがえのない資源として認識されています。

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