宮川電気

宮川電気株式会社の歴史と発展

概要

宮川電気株式会社は、三重県伊勢市において明治後期に設立され、日本の初期の電力会社の一つとして活動していました。1896年に設立され、その後伊勢電気鉄道株式会社へと改名し、電気供給のほかに電気軌道事業も展開しました。この会社は、1922年に三重県の電気事業が統合される際には三重合同電気に合併され、歴史の幕を下ろしました。のちに近畿日本鉄道（近鉄）の前身の一つともなりましたが、伊勢鉄道は直接の関連はありませんでした。

設立と初期の歴史

宮川電気の起源は、1890年にアイデアを持った地元の起業家森由蔵にさかのぼりますが、その試みは失敗しました。しかし、1895年の段階で、地元の有力者や大阪の実業家による再度の試みが活発化し、1896年に電気事業の経営許可を得るに至ります。設立総会は同年10月に召集され、資本金は当初13万円、社長には平川靖が就任しました。

電気事業と軌道事業の開始

1897年6月10日に電気供給事業を開始し、三重県内での初期の電力事業者として活動が始まりました。供給は火力発電所から行われ、最初の点灯は781灯でした。設立から数年後、宮川から二見までの電気軌道の敷設特許を取得し、1903年に運行を開始。その後、軌道事業は順調に拡大し、1904年に社名を伊勢電気鉄道株式会社に変更しました。

明治末期から大正初期の拡大

1906年には資本金の増資が行われ、翌1908年にはさらに拡大が続きました。この時期、伊勢神宮を含む観光スポットへのアクセスを目的に軌道事業が充実し、電気供給区域が広がりました。電灯の数も増加し、1908年度には5000灯に達するに至りました。

水力発電の試みと現代への道

大正時代に入ると、水力発電の導入が模索されました。1919年には、自社で水力発電を手掛ける計画が株主総会で決議され、櫛田川での水利権も獲得しました。この時期、ガス灯との競争もあり、電灯料金を引き下げて対応しました。

三重合同電気に統合

1920年代に入ると、浜島電気から事業を譲受し、南勢地方へも進出。特に水力発電所の運用開始に伴い、電灯供給数が急増しました。しかし、最終的に伊勢電気鉄道は三重県内の同業者と合併し、1922年に三重合同電気が設立されました。

発電所とその概要

宮川電気株式会社は、開業当初から火力発電に依存していましたが、水力発電の模索も行いました。具体的には、宮前発電所が1921年に完成し、出力832キロワットを誇る施設となりました。また、浜島地区での発電所も存在し、電源の多様化が進みました。

結論

宮川電気株式会社は、日本の電力事業の初期において重要な役割を果たしました。特に、電気供給と公共交通の融合は、地域の発展に寄与しました。そして、最終的には三重県の電力事業の統合により大きな歴史的転換を遂げました。基盤を築いたこれらの企業は、今も地域電力供給の一端を担っています。

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