寂しい日々

概要

『寂しい日々』（さびしいひび）は、孤高のシンガー、浅川マキが1978年12月1日に発表した通算10枚目、オリジナルアルバムとしては6枚目にあたる作品です。発表から30年以上を経た2011年1月19日には、リマスタリングが施され、オリジナルレコード盤の仕様を再現した紙ジャケットにて再リリースされました（規格品番：TOCT-27050）。本作に収録された一部の楽曲音源は、後に発表されたコンピレーションアルバム『DARKNESS IV』（2007年）や『Long Good-bye』（2010年）でも聴くことができます。

解説

このアルバムは、浅川マキがそれまで培ってきた独自の音楽世界である“ダークネス”に加え、新たな試みを積極的に取り入れた意欲作として位置づけられています。これまでのスタイルと新しい挑戦が見事に融合することで、唯一無二のムードが醸成されています。アルバム全体の構成において顕著なのは、A面とB面で大きくコンセプトを変えている点です。

A面（トラック1〜5）は、全体的に明るくポップな印象の楽曲が並び、これまでの浅川マキのイメージとは異なる側面を見せています。一方、B面（トラック6〜9）は、彼女が初期から追求してきた音楽性に近い、ダークでアンニュイな雰囲気が漂う楽曲で構成されています。このように、片面ごとに異なる音楽性を持たせるという実験的なアプローチが取られており、聴き手に強い印象を残す作品となっています。再発された紙ジャケット仕様のCDには、オリジナルLP盤に付属していた歌詞カードが忠実に再現されて収録されています。

収録曲

Side A

1. TOO MUCH MYSTERY
作詩・作曲：HOMER BANKS, BETTYE JEAN CRUTCHER, RAYMOND EARL JACKSON
日本語詩：浅川マキ
（外国作品）
2. どうしたのさ
作詩・作曲：C.WOMACK, M.WOMACK
日本語詩：浅川マキ
（原題：WHAT IS THE MATTER WITH YOU とされる外国作品）
3. コーヒーひとつ
作詩・作曲：浅川マキ
4. MR. マジックマン
作詩・作曲：ELI FISHER （JASRAC登録上は BOBBY ELI & CARL FISHER）
日本語詩：浅川マキ
（原題：MR MAGIC MAN とされる外国作品）
5. 面影
作詩・作曲：浅川マキ

Side B

6. ナイロン・カバーリング
作詩・作曲：MARC LEVIN
翻訳：山本安見
日本語詩：浅川マキ
（原題：NYLON COVERIN BODY SMOTHERIN とされる外国作品）
注：この曲のタイトル「ナイロン・カバーリング」はコンドームを比喩的に指す表現です。歌詞の制作にあたり、浅川マキは音楽的なニュアンスを重視し、山本安見の翻訳に加え、南正人からも意味に関する示唆を得て完成させたと伝えられています。そのため、最終的な日本語詩は浅川マキ名義となっています。
7. 女が笑う
作詩・作曲：浅川マキ
8. 寂しい日々
作詩・作曲：浅川マキ
9. 暗い日曜日
作詩・作曲：J.Mareze, F.Eugehe, Gonda, Rezső Seress
翻訳：橋本千恵子
日本語詩：浅川マキ
（原題：SOMBRE DIMANCHE (仏), SZOMORÚ VASÁRNAP (ハンガリー), GLOOMY SUNDAY (英) とされる外国作品）

参加ミュージシャン

浅川マキ - Vocals

アルバムのA面とB面で、参加ミュージシャンの一部が異なります。

Side A

萩原信義 - E.Guitar (A-1,2 リード / A-3,4 リズム)
大出元信 - E.Guitar (A-3 リード&リズム / A-1,2,4 リズム)
杉本喜代志 - A.Guitar (A-5)
白井幹夫 - Keyboard
粉川忠範 - Trombone
川端民生 - E.Bass
つのだひろ - Drums

Side B

山下洋輔 - Piano
川端民生 - Bass
つのだひろ - Drums
杉本喜代志 - Guitar
向井滋春 - Trombone

制作スタッフ

柴田徹 - Producer
谷古宇広光 - Producer
関根由紀子 - Producer
永野久 - Director
吉野金次 - Mixer
田村仁 - Photography
周東圀夫 - Design
TAKE ONE STUDIO - Recording at
ジャム ライス - Special Thanks
* せなまる - Produce

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