寄田町

薩摩川内市寄田町の詳細情報

寄田町は、鹿児島県薩摩川内市に位置する、東シナ海に面した自然豊かな町です。かつては薩摩国薩摩郡に属し、その歴史は古く、多くの史跡や文化が今もなお残っています。この町は、美しい海岸線、豊かな自然、そして地域住民によって守られてきた独自の文化が魅力です。

地理

寄田町は、薩摩川内市の西端に位置し、東シナ海に面しています。北には久見崎町、南にはいちき串木野市羽島、東には高江町が隣接しています。町の中央部には県道43号線が南北に走り、交通の便も比較的良いです。地形的には、北と南の両側に峠があるため、人為的な影響が少ない地域であり、多くの研究者も訪れる場所となっています。特に、轟川河口付近の地形は、測量士補の学習資料としても使用されています。

また、町内には天保年間に築造された多くの溜池があり、農業用水源として重要な役割を果たしています。植物化石の産地としても知られており、大正時代に作られた棚田からは東シナ海を一望できます。

地名の読み方

「寄田」という地名の読み方は、歴史的に変遷しています。江戸時代には「よした」と読まれていましたが、現在でも地元住民は「よした」と呼ぶことが多いです。一方、古文書には「ヨミタ」と表記されることもありました。また、英語表記では「Yoshida」とされています。

自然

山岳

町内には、笠山と柳山という二つの山があります。

河川

轟川が町内を流れています。

海岸

寄田海岸は、川内川北側の唐浜砂丘と対をなす寄田砂丘を形成しています。この海岸はウミガメの産卵地であり、また、川内原子力発電所付近は「原発サーフ」と呼ばれ、ルアー釣りの人気スポットです。サーフィンを楽しむ人々も多く、九州各地からサーファーが訪れます。

湖沼

みやま池は町の北端に位置し、竜の伝説が残る池です。小比良池は、オニバスの自生地として知られ、県の天然記念物に指定されています。

歴史

先史時代

町内からは、縄文時代後期の遺跡や貝塚が発見されており、古くから人々が生活していたことがわかります。

中世

「寄田」という地名は、鎌倉時代から見られる名田名であり、寄田氏の所領でした。南北朝時代には島津師久によって「寄田野牧」が預けられ、中世には西山寺の寺領となっていました。戦国時代末期には入来院氏の勢力下に入っていましたが、後に島津氏の支配下となりました。

近世

江戸時代には薩摩藩高江郷に属し、村高は時代によって変動しました。1778年には轟川に石造りの井堰が建設され、棚田の灌漑に利用されました。伊能忠敬の記録にも、当時の寄田村の様子が記されています。

近代

明治時代には甑島からの入植者が多く、集落が形成されました。1889年の町村制施行により高江村の一部となり、1956年に川内市に編入されました。2004年の市町村合併により薩摩川内市の一部となり、現在に至ります。

近現代

近年では、太陽光発電所が建設され、再生可能エネルギーの導入も進んでいます。また、ドローンによる物流実証実験も行われ、新たな技術の活用も模索されています。

文化

文化財

寄田町には、オニバス自生地、寄田三尺棒踊り（県指定）、天狗鼻海軍望楼台（市指定）など、貴重な文化財があります。

寄田三尺棒踊り

毎年6月に行われる新田神社の御田植祭で奉納される踊りです。起源は鎌倉時代や戦国時代に遡るとされ、農民の自衛のための武術鍛錬や田打ち行事が起源という説があります。この踊りは、薩摩士踊りの影響も受けており、県の無形民俗文化財に指定されています。地域住民によって大切に受け継がれており、練習は5月から始まり、地域の子どもたちが中心となって踊りを披露します。

寄田松之助伝説

寄田氏は、後醍醐天皇の皇子懐良親王の忠臣として活躍したとされる寄田松之助の伝説があります。寄田氏は、一時盛大を極めたものの、島津氏の圧迫により滅亡したとされています。

寄田野牧

寄田野牧は、良質な馬の産地として知られ、島津藩内でも重要な牧場でした。その範囲は広く、周辺の地域にも及んでいました。現在でも、町内には馬頭観音社が複数存在し、当時の名残を伝えています。

甑島文化

甑島からの移住者によって、甑島の文化ももたらされました。年末にはトシドンを行う家庭もあります。

葬儀

寄田地区では、初盆の際に墓地の四隅に竹を立て、盆提灯を飾るなど、独特の葬儀の風習があります。

米軍捕虜収容

太平洋戦争末期には、寄田町に米軍機が墜落し、その搭乗員が住民に救助されるという出来事がありました。この搭乗員は後に捕虜となり、収容所へ送られました。地元住民の温かい対応が、戦後調査で問題視されることはありませんでした。

施設

公共施設

寄田地区コミュニティセンターや寄田簡易郵便局などがあります。

寺社

光照寺、菅原神社、馬頭観世音神社、諏訪神社などがあります。

教育

かつては、寄田幼稚園、寄田小学校、寄田中学校がありましたが、現在は統合により閉校しています。しかし、地域の子どもたちは、近隣の小学校や中学校に通い、教育を受けています。

交通

道路

鹿児島県道43号川内串木野線が町内を通過しています。

バス

薩摩川内市コミュニティバスが運行しています。

港湾

寄田港は、第1種漁港として利用されています。

寄田町は、豊かな自然と歴史、文化が調和した魅力的な町です。訪れる人々は、その魅力を存分に感じることができるでしょう。

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